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記事掲載日:2002年7月31日
  • レジオネラニュース

抗レジオネラ用水処理薬剤複合タイプの普及加速(企画記事)

2002/07/31化学工業日報によると、レジオネラ属菌は、自然界の土壌と淡水に生息するグラム陰 性の棹菌で、一般に二十-五十度Cで繁殖、三十六度C前後で最もよく繁殖する。およそ二十五 年前、米国で、その菌によるレジオネラ肺炎が特定され、都市ビルなど業務空調用の冷却塔設備 の汚れにより、増殖した菌が水の飛沫とともに肺に取り込まれて発症することが知られている。 わが国では、一九九四年に厚生省が冷却塔における対策を中心とする「レジオネラ防止指針」を 発行したが、それ以降も新生児院内における感染死亡事故、社会福祉施設の浴場からの集団感染 事例があり、社会的関心も一層高まった。このため、厚生省は九九年に「新版レジオネラ防止指 針」を取りまとめたが、この新版指針では冷却塔の他、給水・給湯設備、循環式浴槽、噴水・池 などの水景施設など対象設備の範囲を拡大した。 また昨年九月、厚生労働省は新たに「循環式浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアル」を 策定、公衆浴場、温泉旅館などの循環式浴槽を対象に防止対策の徹底を求めたところだ。 一方、レジオネラ属菌の場合、アメーバーなど原生動物の体内で増殖、これらの生物が生息する バイオフィルム(生物膜、施設内に付着する水のぬめり)の内部に保護されているのが特徴。こ のため、レジオネラ対策は施設内の定期検査・清掃によりバイオフィルムを除去、そのうえで水 処理薬剤などによりレジオネラ菌を除菌、また循環式浴槽あるいは給湯設備では紫外線・オゾン などを利用した殺菌処理なども併用される。 とくにこの数年、水処理薬剤・機器メーカーなどはレジオネラ対策への取り組みを強めていると ころだが、一つの薬剤で水管理の障害となるスライム・スケール・腐食の発生を防止し、かつレ ジオネラ菌の増殖を抑える複合型薬剤の普及で通常の水処理プロセスのなかで、比較的容易に対 策がとれるようになってきた。 また循環式浴槽については、最近でも東京の銭湯で薬湯を飲んだ男性が死亡、岩手県でレジオネ ラ検出報告制度がスタート、静岡県の旅館組合がレジオネラフリーを宣言するなどいくつか動き があり、昨年九月の厚労省の防止マニュアル策定を受けて、水処理薬剤メーカーなどによる取り 組みが活発化している。 ここでは、主要メーカーの抗レジオネラ水処理薬剤の製品展開を紹介する。