記事掲載日:2004年5月10日
- レジオネラニュース
困惑する県内温泉地/あふれる湯、川に流せない/国の排水規制強化方針/「高額投資は死活問題」
2004/05/10の下野新聞によると、栃木県では名湯に多く含まれる温泉成分・ホウ素などの除去を目的に環境省が打ち出した排水規制強化に、県内温泉地から困惑の声が上がっているという。 2001年7月に改正された「水質汚濁防止法」で、温泉の有効成分とされてきたホウ素が人の健康を損なうおそれがあるとして、温泉旅館や下水処理場、工場などの特定事業所に排出基準が設定された。温泉旅館は法施行後3年間(2004年6月末まで)は500mg/1L以下の緩い暫定基準が認められるが、それ以降は河川など淡水放出時に10mg/1L以下とする、としていた。 同省は3月、「廃水処理技術の開発や実用化が進んでないこと」を理由に、基準を07年6月まで現行通りとする延長方針を決定したという。温泉地は当面、数千万円から一億円以上掛かるホウ素除去装置の設置という“危機”を回避した。 しかし、今後、強化された場合、ホウ素の基準は「現行の1/50」と一気に厳しくなり、これを上回る温泉の旅館は除去装置の設置が義務づけられるという。足利銀行国有化の余波が続く中、温泉旅館の負担増となるのは確実で、「死活問題」という切実な声が漏れる。 県環境管理課は「今まで、県内の河川などでホウ素による被害はない。温泉地に過度な投資を促すのもどうかと思うが、国の報告や全国的な状況を見ながら慎重に判断するしかない」としている。