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記事掲載日:2005年2月3日
  • レジオネラニュース

深層断面/温泉殺菌、ホットな闘い-レジオネラ属菌対策が必須

2005/02/03の日刊工業新聞によると、温泉ブームを映した、スーパー銭湯や、温浴設備のある老人福祉施設などが急増しているが、そうした施設や温泉旅館、ホテルなどでレジオネラ対策が頭の痛い問題となっているという。 レジオネラ菌は多くの種類があるためレジオネラ属菌と呼ばれ、高齢者など抵抗力の弱い人が感染すると肺炎などを発症し、死亡する例もある。 3、4年前から老人ホームや自治体などが運営する温浴施設を中心に事故が相次いぎ、注目されるようになり、02年7月には宮崎県日向市の第三セクター、日向サンパーク温泉が経営する温浴施設で295人が感染し、7人が死亡した事故を機に大きく注目されるようになったという。 このため厚労省は03年2月に指導のための指針を見直しが行われ、地方自治法に基づく技術的助言で、都道府県が同指針に沿って条例を定めている。 指針では、循環配管の内壁にレジオネラ属菌の巣となる生物膜(バイオフィルム)が生成されやすいことから、ろ過器や循環配管は1週間に1回以上、十分に逆洗浄し、消毒して生物膜を除去することなどとしている。 浴槽水の殺菌については掛け流しや、低pHの泉質のため有毒な塩素ガスを発生する場合などを除き、塩素系薬剤を使って浴槽中の遊離残留塩素濃度を通常、1L当たり0.2ミリ〜0.4mg程度に保つことなどが決められ、これによりレジオネラ属菌は100mL当たり10cfu(個)未満という安全基準を維持する必要があるという。 通常は厚労省の“指導”で塩素を液体で注入しているが「レジオネラ属菌で被害を出すよりは、と塩素を多く投入しているところも少なくない」という。 源泉の枯渇から循環式にしている温泉などでは「せっかく温泉に来たのに温泉の香りがしない」と塩素臭に対して厳しい苦情もある。 一方で「日本の温泉はほとんどアルカリ泉のため塩素の効きは悪い」という。 厚労省が塩素殺菌を“指導”しているのは安全の確認、データ数などから他に適当な殺菌剤がなかったためだが、その“指導”に従って塩素殺菌を実施していてもレジオネラ属菌による事故はなくならないという。 厚労省が緊急調査して03年3月に発表した調査結果からも塩素殺菌の限界が明確になっているという。 厚労省は「殺菌に何を使おうと管理の仕方が大事」との立場だが、自主検査でも基準を超えるレジオネラ属菌を検出した場合、営業自粛に追い込まれる事態もあるだけに、当事者にとってレジオネラ対策は重要な課題だという。 このため「厚労省のいう通りやっていてレジオネラ属菌の事故が起きても厚労省が責任をとってくれるわけではない。 後ろに手が回るのはこちら」(大手の温浴施設)と、塩素より殺菌効果が高い他の殺菌方式の導入に走る施設も少なくないという。 また、「塩素以外の方式で殺菌していて、レジオネラ属菌の事故が起きるとオーナーの責任になるので、塩素殺菌を併用している」施設も多いという。 その結果、塩素殺菌以外の装置を手掛ける企業の中には「塩素との二重投資が敬遠されて商談が進まない」と嘆く声もある。 温泉でも源泉の枯渇に伴って循環装置を使うケースが増えると見られるが、経営不振が続く温泉旅館などにとって投資は大きな負担となるという。 結局、ターゲットはレジオネラ対策への意識が高い大手の温浴施設や老人福祉施設などで、売り込み競争が激化している。 塩素剤の他に、レジオネラ対策として登場しているのはオゾン、紫外線、銀イオン、光触媒などの殺菌装置がある。 いずれも温浴施設だけでなく、プールなどにも導入されている。 厚労省は温浴施設でこれらを採用する場合、塩素との併用などの措置を求め、オゾン殺菌では活性炭などによる廃オゾン処理、紫外線殺菌ではランプのガラス管の汚れでの効力低下を避けるためガラス面の清掃を指導しているという。