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2015.12.11
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Legionella pneumophila 感染におけるIFN-γ、IL-1の感染抵抗性に及ぼす影響についての検討

著者
篠沢陽子1)、松本哲哉2)、舘田一博2)、吉田佳成子1)、内田耕1)、山口惠三2)
1.東邦大学医学部大森病院第2内科、2.東邦大学医学部付属微生物学教室
出典
感染症学雑誌Vol.76臨時増刊号March 2002.第76回日本感染症学会総会学術講演抄録P.245

Legionella pneumophilaは、細胞内寄生性を示すグラム陰性桿菌であり、経気道的に侵入した細菌は主に肺胞マクロファージに感染し肺炎を惹起している。本症の発症病態に関しては、マクロファージ活性化因子であるIFN-γや炎症細胞の活性化に関与するIL-1などのサイトカインの重要性が報告されている。今回、本症の発症病態の解明を目的に、IFN-γおよびIL-1-knockout(KO)mouseを用い、これらサイトカインのL.pneumophila感染における役割を検討した。IFN-γKO mouseは、△IFN-γ/BALBを用いた。臨床分離L.pneumophila血清型1(KC株)を点鼻感染することにより肺炎を作製した。感染後、経時的にBALF中の細胞数・分画を検討するとともに、肺内・血中菌数、生存率を観察した。また、血清及びBALF中のサイトカイン濃度を市販のELISAキットにより測定した。IL-1KO mouseにおいても同様に、KC株を点鼻感染することにより肺炎を惹起し、上記マーカーについて検討した。(結果及び考察)感染後の生存率は、IFN-γKO mouseで8.3%、コントロールマウスで92.8%と有意にKO mouseの生存率が低かった。肺内菌数は、コントロールマウスに比べIFN-γKO mouseにおいて持続的な増加が観察された。また、IFN-γKO mouseでは、感染早期のTNF-αがコントロールに比べて低い傾向が認められた。一方IL-1KO mouseでは、その生存率は9.0%でコントロールマウス(81.8%)に比べ高い致死感受性を示した。今回の検討から、L.pneumophila感染防御におけるIFN-γ、IL-1の重要性がこれらサイトカインKO mouseにおいて示されたとしている。会員外共同研究者;東京大学医科学研究所岩倉洋一郎