- その他
Effects of Oakmoss and its Components on Acanthamoeba castellanii ATCC 30234 and the Uptake of Legionella pneumophila JCM 7571 (ATCC 33152) into A. castellanii
- 著者
- HARUE NOMURA, YASUNORI ISSHIKI, KEISUKE SAKUDA, KATSUYA SAKUMA, SEIICHI KONDO
- 出典
- Biocontrol Science, Vol. 20, No. 1, 59-65 (2015)
DOI:https://doi.org/10.4265/bio.20.59
水環境に普遍的に生息するAcanthamoeba castellaniiは,ヒトに対して病原性を示すだけでなく,レジオネラ症の原因菌であるレジオネラ属菌の宿主でもある。天然香料成分であるオークモスとその成分は,レジオネラ属菌に対して特異的な抗菌作用を有している。本研究では,オークモスとその成分を用いて,A. castellanii ATCC 30234に対する殺アメーバ活性,およびL. pneumophila JCM 7571 (ATCC 33152)のA. castellaniiへの取り込み阻害効果を検討した。オークモスとその成分である3-ヒドロキシ-5-メチルフェニル2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエート(5),および6,8-ジヒドロキシ-3-ペンチル-1H-イソクロメン-1-オン(12)は,処理48時間後に高い殺アメーバ活性(IC50値; それぞれ10.5 ± 2.3、16.3 ± 4.0、および17.5 ± 2.8 μg/mL)を示し,これは対照物質のグルコン酸クロルヘキシジンと同等であった。L. pneumophilaをオークモス,5、3-ヒドロキシ-5-メチルフェニル-2-ヒドロキシ-4-メトキシ-6-メチルベンゾエート(10),および8-(2,4-ジヒドロキシ-6-ペンチルフェノキシ)-6-ヒドロキシ-3-ペンチル-1H-イソクロメン-1-オン(14)の最小発育阻止濃度未満で前処理したところ,L. pneumophilaのA. castellaniiへの取り込みが明らかに減少した(p < 0.05)。化合物5のL. pneumophilaへの取り込み阻害効果は,対照として用いたアンピシリンの阻害効果とほぼ同等であった。したがって、オークモスおよびその成分は,レジオネラ属菌だけでなくA. castellaniiに対する消毒剤としても優れた候補であると考えられた。