Legionella Literature search レジオネラ文献検索

2015.12.11
  • その他

肺炎球菌およびレジオネラ尿中抗原迅速検出キットの有用性の検討

著者
樫山鉄矢1)、畠山修司1)4)、木村朗子1)、坂根祥裕1)、後藤薫2)、西海美恵2)、舘田一博3)、松本哲哉3)、古谷信彦3)、山口惠三3)
1.東京都立大久保病院内科、2.東京都立大久保病院検査科、3.東邦大学医学部微生物学講座、4.現東京大学医学部感染症内科
出典
感染症学雑誌Vol.76臨時増刊号March 2002.第76回日本感染症学会総会学術講演抄録P.106

市中肺炎の診療における肺炎球菌およびレジオネラの尿中抗原迅速診断キットの有用性について検討。2000年5月から2001年4月までの1年間に、当科に入院した全ての市中肺炎症例67例(17〜100歳、平均61歳、男性57例、女性10例)を対象に、喀痰等のグラム染色、レジオネラを含む喀痰培養、血液培養、および必要に応じて抗体検査を施行し、肺炎の気炎病原体について検討。同時に尿中抗原迅速検出キットNow Streptococcus PneumoniaeTMおよびNow Legionella PneumoniaeTM(Binax Inc.USA,および、アラスカ純薬、東京)を用いて、肺炎球菌およびレジオネラの抗原を検索した。肺炎球菌の尿中抗原は、検討した全症例の19%、喀痰や血液から肺炎球菌が分離された症例の54%にあたる13例において陽性であった。一方尿中抗原陽性例においては、喀痰が得られなかったなどの2例を除く全例で、喀痰や血液から肺炎球菌が分離された。重症の肺炎球菌肺炎では、尿中抗原陽性率が高い傾向があり、血液培養で肺炎球菌が分離された3例は全例尿中抗原陽性であった。一方、レジオネラ肺炎と診断された症例はなく、培養や尿中抗原が陽性となった症例はみられなかった。肺炎球菌肺炎は菌血症を伴う例が多く、しばしば重篤な経過をたどる重症例においては肺炎球菌の尿中抗原の陽性率が高く、初期治療における適切な抗菌薬の選択に極めて有用と思われた。レジオネラ尿中抗原の有用性については評価出来なかったと報告している。