2015.12.11
- レジオネラ文献
病院給湯設備におけるレジオネラ汚染とその除菌
- 著者
- 宮本比呂志1、4、5)、池野貴子2、4、5)、山口初美1、4、5)、松本哲朗3、4、5)
1)産業医科大学医学部微生物学、2)産業保健学部第2生体情報学、3)医学部泌尿器科学、4)産業医科大学病院病院感染防止委員会、5)北九州地域感染制御チーム(KRICT) - 出典
- 環境感染Vol.19 No.4、2004
産業医科大学病院において2003年7月に病棟の特別浴槽シャワーヘッドよりLegionella pneumophilaが検出され、追加調査で貯湯槽からもL.pneumophilaが検出された。中央循環式の給湯設備であることより設備全体の汚染があると判断し、1年間にわたり汚染調査と除菌作業を繰り返した。期間中に検出された分離株は3つの遺伝子型にしか分類できなかったことから、汚染が給湯水の循環により施設全体に広がっていたことが示唆された。除菌対策として(1)1年に1度、給湯水を末端給湯栓類で放水(2)貯湯槽の清掃(3)給湯水温を66℃にて維持することを実施した。その結果、汚染は検出限界以下に除去できた。また、この期間中にレジオネラ肺炎の院内発生は認められず、水道料金や灯油料金の負担が増えることもなかった。給湯水の昇温循環運転と末端給湯栓類からの放水作業は安価で有効な除菌法であった。