2015.12.11
- レジオネラ文献
温泉水の習慣的飲用が原因と考えられたレジオネラ肺炎による急性呼吸不全の1例
- 著者
- 富永正樹1),甲佐和宏1),福岡麻美1),青木洋介1),林真一郎1),薮内英子2)
1.佐賀医科大学内科呼吸器、2.小林製薬株式会社研究開発部 - 出典
- 感染症学雑誌第74巻第2号「第69回日本感染症学会西日本地方総会学術講演会後抄録」
症例は59歳、男性。99年8月5日に全身の筋肉痛を伴った発熱にて発症。近医にて抗生物質、総合感冒剤の投与受けるも改善なく、呼吸困難も出現してきたため8月11日当院紹介入院となった。胸部X線写真で右下肺に胸水を伴った浸潤影を認め、血液検査にて白血球減少、著明な炎症反応、低Na血症、低酸素血症を認めDICも合併していた。以上の臨床所見より重症細菌感染症による敗血症、急性呼吸不全、DICと診断し、原因として特にレジオネラ感染症を最も強く疑い、IPM/CSとEMの投与を開始した。尿中レジオネラ抗原が陽性であったため、RFPとLVFXも追加し、経過中肝機能障害、頭痛、発熱の遷延化を認めたものの、現在良好な転帰を辿っている。この患者の罹患背景に温泉水を常飲していたという生活習慣があり、発症との因果関係が示唆された。