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2015.12.11
  • レジオネラ文献

海外旅行中に発症し、帰国後の尿中抗原検査にて診断されたレジオネラ肺炎の1例

著者
石井義和、坂東政司、大野彰二、杉山幸比古
自治医科大学呼吸器内科
出典
感染症学雑誌第79巻第4号

目的
ヨーロッパ(トルコ)旅行中に発症し、帰国後に施行した尿中抗原検査にて早期に診断することができたレジオネラ肺炎の1邦人例を経験したので報告する

症例
・75歳、男性・主訴:発熱、呼吸困難、全身倦怠感
・職業:20〜40歳鉱山勤務、41歳〜事務職
・喫煙歴:20〜40本/日、20年間
・経過:旅行中温泉水の引かれたホテル自室のバスルームを使用。帰国前に腰痛が出現、次いで熱感・呼吸困難を伴うようになった。帰国後、全身倦怠感が強くなったため当院救急外来を受診。肺炎と診断されたため同日緊急入院した。

結果と考察
ヨーロッパ・レジオネラ感染症ワーキンググループでは1987年から毎年、加盟国(2001年度は31か国)におけるレジオネラ肺炎の発生状況をまとめており、2001年の報告では年間3、470名がレジオネラ肺炎を発症し、旅行による感性例が約20%を占めている。その中の62%が国外への旅行で旅行先のほとんどがヨーロッパ圏内。国別ではイタリア、フランス、トルコ、スペイン、ギリシャの順に多く、旅行者100万人あたりのレジオネラ肺炎罹患率でみると、イタリア3.7人、フランス0.7人、スペイン3.1人に対してトルコは16.0人と最も高率であった。出発前の体調には問題なく、24時間風呂の使用や国内の温泉利用歴も無いことから本症例はトルコ10日間の旅行中に感染した可能性が高いと考えられた。