2015.12.11
- レジオネラ文献
河川水からのCryptosporidiumとGiardiaの検出状況-第74回日本感染症学会総会学術講演会座長推薦論文
- 著者
- 小野一男1)、辻英高1)、島田邦夫1)、増田邦義1)、遠藤卓郎2)
1.兵庫県立衛生研究所微生物部、2.国立感染症研究所寄生動物部 - 出典
- 感染症学雑誌第75巻第3号P.201〜207
1999年7〜10月に兵庫県の3地域の13水道水源河川から採取した表流水について、免疫磁気ビーズを用いCriptoridium oocystとGiardia cystの検出を行なった。その結果、Cryptosporidiumは13河川中9河川(69%)、69採水地点中38地点(55%)から、また、Giardiaは13河川中5河川(38%)、採水地点中9地点(13%)から検出された。併せて行なった糞便性汚染指標菌は13河川中10河川(77%)、69採水地点中54地点(78%)がら検出され、検出率はCryptosporidiumと近似した値であった。これらの成績を地形および農業環境の異なる3つの地域内で比較したところ、Cryptosporidiumおよび、Giardiaの地域別の陽性率は、それぞれ37〜100%および10〜20%であり、Cryptosporidiumの方に地域差が認められた。地域別の検出率とそれぞれの地域における飼育家畜の種類と頭数との関係を調べたところ、ウシの飼育頭数とCryptosporidium検出率との間に強い相関(r=0.91)がみられた。さらに調査河川から検出されたCryptosporidiumを用いてPCR-RFLP法による遺伝学的解析を行なったところ、これらはCryptosporidiumのウシ型と同定された。これらの結果から河川から検出されたCryptosporidiumは河川流域で飼育されているウシから排泄されたものと考えられた。また、糞便性汚染指標菌はCryptosporidium汚染の指標となり得ると考えられた。