Legionella Literature search レジオネラ文献検索

2015.12.11
  • その他

掛け流し式温泉の温泉成分検査、微生物実態調査、および施設の衛生管理状況についての調査

著者
前川純子1、森本洋2、熊田裕子3、藤田雅弘4、黒木俊郎5、杉山寛治6、緒方喜久代7、縣邦雄8、山崎利雄1、渡辺治雄1、倉文明1
国立感染研・細菌第一1、北海道衛研・微生物2、福島衛研・理化学グループ3、群馬県衛環研・保健科学グループ4、神奈川衛研・微生物5、静岡県環衛研・微生物6、大分衛研・微生物7、アクアス・つくば総研8
出典
日本細菌学雑誌第63巻第1号平成20年

日本全国の多様な泉質をもつ掛け流し温泉入浴施設の浴槽水、直接湯口から採水した湯など113検体について微生物検査を行った。

結果
1. 33検体からレジオネラが検出され、分離されたレジオネラは9割がLegionellapneumophilaで、血清群1.6.untypableが多かった。
2.泉質別では酸性泉と硫黄泉のレジオネラ検出率が10%、17%と低かった。
3.温泉成分との関係ではレジオネラの陽性率が有意に低かったのは(単変量解析の結果) pH6未満酸消費量(炭酸水素イオン濃度)400mg/L未満、電気伝導率225mS/m未満、全硬度650mg/L未満の温泉水(多重ロジスティック回帰解析の結果) pH6未満のみ
4.レジオネラ陽性率と他の微生物量との関係については、多重ロジスティック回帰解析により、従属栄養細菌200CFU/mL以上、一般細菌30CFU/mL以上、アメーバ20PFU/100mL以上で有意に高く、特に連続量として見ると一般細菌数が重要なリスク因子であることが分かった(p=0.0006)。
5.一般細菌数が10倍になるとレジオネラ汚染のリスク(オッズ比)は2.2倍になった。

考察
以上のことから各種泉質や浴槽の衛生管理状況が一般細菌数に影響を与え、それを介してレジオネラ汚染のリスクに関与することが示唆された。