2023/02/24付の朝日新聞によると、福岡県筑紫野市の老舗旅館が、週1回以上行う必要がある大浴場の湯の取り換えを年2回しか実施せず、消毒用塩素の投入も怠っていたことがわかった。調査では一時、基準値の最大3700倍のレジオネラ属菌が検出されたという。旅館が湯の管理について虚偽報告をしていたこともわかり、県は罰則適用を検討している。
旅館は「二日市温泉・大丸別荘」。1865年創業の高級旅館。温泉を掛け流し、一部を循環濾過（ろか）させている。県条例では、連日使用型の循環浴槽は「完全換水」を週1回以上行い、湯内の残留塩素濃度は1リットルあたり0.4ミリグラム以上にする必要がある。
しかし大丸別荘は完全換水を年2回の休館日にしか実施せず、塩素注入も日常的に怠っており、必要な濃度が保たれていなかったという。
問題発覚の発端は、大丸別荘で昨年8月、基準値の2倍のレジオネラ属菌が検出されたことだった。旅館側は保健所に浴場の管理簿を示し、換水や塩素注入は適正だったと説明した。また、10月下旬の自主検査結果で菌が検出されていない旨も届け出た。
11月に保健所が再検査したところ、基準値の最大3700倍の菌を検出。管理簿に記載された内容や数値が虚偽であることを大丸別荘が認めた。県は換水や塩素注入の違反について、昨年12月26日付の文書で改善を指導した。また、公衆浴場法は調査への虚偽報告に罰則を定めており、県は適用できるか確認している。
大丸別荘は浴場の営業を休止して態勢を見直し、昨年12月下旬から営業を再開している。