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2015.12.11
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市販DNA抽出キットを用いたレジオネラ核酸検出法の検討

著者
神田隆(1)、高橋奈緒美(1)、杉山寛治(1)、泉山信司(2)、倉文明(3)、遠藤卓郎(2)
静岡県環境科研微生物部(1)、国立感染研寄生動物部(2)、国立感染研細菌第一部(3)
出典
平成21年度第36回日本防菌防黴学会年次大会講演要旨

目的
昨年度の本学会で浴槽水のレジオネラ属菌迅速検査法としてリアルタイムPCRの有用性を報告したが、今回はそれに用いる遺伝子抽出法について市販DNA抽出・精製キットの応用と、抽出・精製カラムからのDNA溶出量を検討した。

方法と結果
①標準菌株で菌液の希釈系列を作成し、特注品のGLカラム(GLサイエンス)と市販キット(Takara Fast Pure DNA Kit)でDNAを抽出、PCRを行い比較した。結果、検量線は直線性が高く、検出感度は10CFU/tubeでGLカラムと同様だった。
②市販キットを用いたDNA抽出法での溶出量について、20㎕(1回溶出)、50㎕ (2回溶出)を比較した。結果、検量線はどちらも直線性が高いが、検出感度は50㎕(2回)の溶出法が高く、培養法(10CFU/100ml)と同レベル(5.5 CFU/100ml)の菌数が検出可能であった。
③泉質種々の浴槽水102検体について市販キットでDNA抽出、PCRを行い培養法と比較した。結果、全ての検体でインターナルコントロールの増幅が確認され、泉質による増幅阻害(偽陰性)が無いことが分かった。またPCRと培養法の定量値の比較の結果、菌数に相関がみられたが、PCRでは死菌の反応と思われるDNA増幅が多検体で確認された。
以上の結果から、今回用いた市販DNA抽出キットは温泉の成分に関わらず十分応用できることが示された。今後は死菌DNAによる核酸検出法の陽性反応の評価、生菌と死菌のDNA鑑別法について検討する。