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2015.12.11
  • レジオネラ文献

乳児院におけるレジオネラ症の集団発生例

著者
酒井英明1)、赤井畑美津子1)、新妻一直2)
福島県立会津総合病院小児科1)、福島県立会津総合病院内科2)
出典
感染症学雑誌 Vol.77 第77回 日本感染症学会総会学術講演 抄録

2002年6月中旬より、乳児院において、咳嗽や喘鳴などの呼吸器症状と発熱を訴えた患児で、レジオネラ尿中抗原陽性となった8例を対象として、その臨床症状ならびに検査を行った。

結果
性別:男児5例、女児3例年齢:11ヶ月〜1歳10ヶ月(平均年齢1歳3ヶ月)症状:基礎疾患を有した患児は1例のみであり、入院加療となった患児は6例であった。咳嗽、発熱、鼻汁は全例に認められ、喘鳴が8例中7例にみられた。消化器症状や神経症状を呈した患児は認めなかった。咳嗽期間は平均9.9日、発熱期間は平均4.5日であった。入院患児6例の白血球数は7500〜15300/μl(平均10633/μl)と上昇していた。CRTは0.2〜2.5mg/dl(平均0.85mg/dl)と軽度上昇していた。胸部レントゲン検査では、浸潤影を2例に認め、肺紋理の増強が5例にみられた。治療に関しては、マクロライドまたはテトラサイクリン系抗菌薬を使用した症例は8例中4例であった。

考察
今回の症例を通して、レジオネラ症には軽症例も存在すること、また、軽症例では、マクロライドやテトラサイクリン系抗菌薬を使用しなくとも、軽快する可能性が示唆された。今後、迅速診断法としての尿中抗原検査法などの速やかな普及が必要と思われた。