2015.12.11
- レジオネラ文献
レジオネラ肺炎と高酸素療法〜マウス肺炎モデルからの考察〜
- 著者
- 奈良千春1)2)、前田恒春1)3)、吉澤定子1)、松本哲哉1)、山口恵三1)
1)東邦大学医学部微生物学講座、2)東邦大学医学部付属大森病院第1小児科、3)新潟大学大学院医歯学総合研究科生体機能調節医学専攻内部環境医学講座 - 出典
- 感染症学雑誌第77巻第10号
目的
レジオネラ肺炎は急激な肺障害や低酸素血症の進行を特長とする疾患であり、しばしば高酸素による呼吸器管理が必要となる。一方、高酸素療法そのものも急性肺障害を引き起こすことが知られており、その成因の一部にアポトーシスが関与していることが報告されている。その事実をふまえて、レジオネラ肺炎における高酸素療法の影響についてマウス肺炎モデルを用いて検討した。
結果
感染のみと、感染+高酸素療法で比較すると、死亡率の増加は酸素濃度・投与期間と相関する傾向が見られたが、肺内菌数においては差はみられなかった。TNF-α、IFN-γ投与による有意な生存率の改善傾向が観察された。考察:以上の結果から、高酸素療法が酸素濃度と投与期間に相関してレジオネラ肺炎モデルにおける死亡率を高めることが明らかになった。今後、感染+高酸素療法下のレジオネラ肺炎宿主に対してある種のサイトカインおよび酸化ストレス・スカベンジャーの有効性メカニズムに関してアポトーシスへの影響を中心に検討していく予定である。