2015.12.11
- レジオネラ文献
レジオネラ症の臨床的検討と早期診断についての考察
- 著者
- 山口浩樹、濱田洋平、曲渕裕樹、浦上宗治、青木洋介
佐賀大学医学部付属病院感染制御部 - 出典
- 第57回日本感染症学会中日本地方会学術集会後抄録
第84回日本感染症学会西日本地方会学術集会後抄録
背景
レジオネラ症は意識障害や消化器症状など多彩な症状を呈し診断が難渋する。Winthrop大学では、レジオネラ症を臨床所見と簡便な検査に基づき鑑別するpoint systemを提唱しているが、精度に関する報告はない。そこで、当院での症例の臨床像と、point systemが早期診断に有効であるか検討を行った。
方法
当院でレジオネラ症と診断された5症例を対象にカルテ記録から後方的に検討した。
結果
Point systemの中央値は18点。4例が15点以上(Legionella very likely)、15点未満だった1例も発症3日後に19点を示した。尿中抗原は4例で陽性、内1例は発症当日陰性であったが発症3日後陽性となった。喀痰LAMP法検査は全例陽性、内1例は尿中抗原で陰性であった。全例ニューキノロン系抗菌薬で治療され、A-DROPで3例が重症と判定され、内1例が死亡した。
考察
Winthrop大学のpoint systemや喀痰LAMP法検査は早期診断に有用と思われる。尿中抗原は偽陰性例があり、レジオネラ症が否定できなければ喀痰LAMP法などの追加検査やニューキノロン系抗菌薬でのempiric therapyを考慮する必要がある。