2025.11.27
- レジオネラ文献
環境水からのレジオネラ・宿主アメーバ検出とその制御[8]
浴槽のレジオネラ対策1 浴槽のどこで,どのように増えるのか
- 著者
- 杉山寛治((株)マルマ 研究開発部)
- 出典
- 日本防菌防黴学会誌,Vol.47,No.2,pp.83−89(2019)
消毒されていないモデル循環式浴槽水中では,自然汚染による一般細菌数や従属栄養細菌数の増加に引き続き,それらを捕食するアメーバの増殖が起きた。その後,アメーバ内で増えたと思われるレジオネラ属菌が浴槽水中に浮遊・拡散し,ろ過器内や配管表面等の循環系全体でバイオフィルムを形成した。レジオネラ属菌の増殖とバイオフィルムの形成は湯温が53℃より低い貯湯槽内にも見られた。レジオネラ属菌は自然環境に存在し,土埃などに付着して浴槽水を汚染すると考えられる。浴槽水のレジオネラ属菌の汚染自体を防止することは難しく,循環式浴槽のレジオネラ対策は,浴槽水中での本菌の増殖防止と,バイオフィルム形成阻止の両面への対応が中心になるであろう。