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2016.2.29
  • レジオネラ文献

培養法と遺伝子検出法によるレジオネラ属菌検査結果の相違に関する検討

著者
井上浩章1 2、縣邦雄1、太田寛行2
アクアス(株)つくば総研1、茨城大農2
出典
日本防菌防黴学会第42回年次大会要旨集 (2015)

培養法による環境水のレジオネラ属菌検査は結果が得られるまでに1週間以上を要し、培地に発育できるレジオネラ属菌のみを検出する。一方、遺伝子検出法は数時間で検査結果を得られるが、死菌も含めてレジオネラ属菌のDNAを広く検出する。この問題への対応としてEMA処理が実用化されている。
今回、浴槽水3試料、冷却水11試料を用いて培養法とEMA-qPCR法の検出結果を比較した。培養法の結果、浴槽水3試料からLegionella pneumophila が優占種として検出された。冷却水は8試料からL.pneumophila、1試料から Legionella sp.LC2720が優占種として検出され、2試料からは検出されなかった。EMA-PCR法では全ての試料からレジオネラ属菌の16SrRNA遺伝子が検出された。検出されたL.pneumophila クローンの割合は浴槽水試料32~99%、冷却水試料0~11%。各試料から得られたOTUの数は浴槽水試料は2~7、冷却水試料は2~29。冷却水は浴槽水と比べてレジオネラ属菌の多様性が明らかに高かった。
本調査の結果から、環境水中には培養法で検出されないレジオネラ属菌が存在し、特に冷却水には既存種に分類されないレジオネラ属菌の生菌が多く存在することが示唆された。
環境水のレジオネラ属菌検査では培養法で検出されないレジオネラ属菌の存在を考慮した上で、培養法及び遺伝子検出法の特性を理解して、結果を解釈することが重要と考えられる。