2015.12.11
- レジオネラ文献
モノクロラミンによる循環式浴槽の消毒効果について-営業施設における検証試験‐
- 著者
- 佐原啓二1、道越勇樹1、八木美弥1、杉山寛治2、田中慶郎2、縣邦雄3、江口大介4、市村祐二4、神野透人5、小坂浩司6、泉山信司6、八木田健司7、片山富士男8、富田敦子9、遠藤卓郎10、倉文明10
1静岡県環衛科研微生、2(株)マルマ研開、3アクアス(株)つくば総研、4ケイ・アイ化成(株)機能性薬品、5国立衛研生活衛生化学、6国立保健医療科学院生活環境研、7国立感染研寄生動物、8静岡市保健所、9静岡市環保研微生、10国立感染研細菌第一 - 出典
- 日本防菌防黴学会 創立40周年記念事業、第40回年次大会要旨集
目的
遊離塩素消毒が困難とされるアルカリ泉質やアンモニア態窒素が多く含まれる温泉水の循環式浴槽をもつ営業中の3施設で、6週間モノクロラミンの生成装置と全塩素濃度測定器による自動制御装置を導入し、消毒効果を検証した。
方法
モノクロラミンは循環式浴槽のろ過器前に注入し、濃度は自動制御で3mg/L程度を保持した。モノクロラミン濃度の測定は現場測定とDPD/FAS滴測定法により行った。また、塩素消毒で検出される消毒副生成物の定量を行った。
結果
モノクロラミン濃度は2施設で目標値3±1mg/Lの範囲内を保持した。1施設は一時的に目標値からの逸脱があったが、濃度測定器の電極洗浄で改善された。トリクロラミン(悪臭の原因)、レジオネラ属菌は3施設とも検出されなかった。浴槽水中のレジオネラ属菌の遺伝子数は低値であるが検出された。自由生活性アメーバは検出されなかった。また、濃度を適正に保持できた2施設では人体に有害な消毒副生成物は試験前より低値に安定した。以上から、モノクロラミンがアルカリ泉質やアンモニア態窒素が多く含まれる温泉水の循環式浴槽に対して高い消毒効果のあること、カルキ臭がなく、消毒副生成物の発生が極めて少ないこと等が実証され、安全で快適な新たな消毒法として期待される結果が得られた。