Case モノクロラミン処理システム導入事例

レジオネラ対策のパイオニアとして挑む
温泉・温浴設備へのトータルサービス

株式会社トムズ様とともに取り組む温浴設備の水処理プロジェクト。アクアスのノウハウを活かした、国内でも実施できる企業の少ない「モノクロラミン処理システム」の導入事例を紹介する。

“特殊な泉質に対応する温泉消毒
泉質に合わせた注入方式の強み”

 1982年に民間企業として初めてレジオネラ属菌検査を開始したアクアス。今では年間3万検体を超える検査実績があり、レジオネラ属菌対策のパイオニアとして国内トップクラスの実績を誇る。2019年末、厚生労働省がレジオネラ症防止対策マニュアルの改正を公表した。

この中で、温泉成分の中でも塩素処理が難しいとされている鉄・マンガン・アンモニアが多く含まれている泉質や高アルカリ泉、通常の塩素処理では臭気が気になる温浴施設の消毒には、モノクロラミン消毒が適していると記載された。それ以降、お客様からの問い合わせが増加し、モノクロラミン処理システムの認知や導入が広がりはじめているという。アクアスでは、2017年に業界に先駆けてモノクロラミン処理システムを開発、販売をスタートしていた。
 アクアスのモノクロラミン処理システムでは、アクアスレジスパLQとアクアスレジスパCL110を二液混合して消毒処理を行うシステムを構築しているが、この溶液は安定性が悪く現場で生成する必要がある。そのため水質分析をはじめとする調査や現場との連携が必要になってくる。天然温泉の流動的な性質に合わせてタイマーによる自動注入制御を基本とし、泉質によっては濃度管理による自動注入制御(全残留塩素計アクアスレジスパRIC-SB)にも対応している。水質分析・管理と合わせて、さまざまな泉質に対応できるのがアクアスのモノクロラミン処理システムの強みだ。

“評価されるアクアスのトータルサービス
トライ&エラーで最適解を導く”

モノクロラミン処理システムは、実は国内でもまだ数社しか取り扱いがない。そのため実証データが少ないことが課題のひとつだった。アクアスでは、つくば総合研究所が中心となってさまざまな検証を行ってきた。
 そんなアクアスのシステムを自社で管理運営委託する温泉付きマンション施設に導入した湯河原の施設管理会社、株式会社トムズの矢後さんはこう語る。

「すでに他のメーカーさんに相談済であり、その後比較検討としてアクアスさんにお声がけさせて頂きました。基本的に国内での導入実績もそう多くはない中で、導入設置後のアフターフォローが最後の決め手になりました。また、アクアスさんは各循環式浴槽の濃度管理の提案があった事も決め手の一つになりました。私たちにとっても初めての取り組みでしたので、トータルサービスで緊急トラブルの対応もしてくれるアクアスさんは本当に心強かったです。」
 矢後さんは、生活衛生課の指導の中で「モノクロラミン処理」について情報を得て、アクアスに相談を寄せた。対応したアクアスの栗原は、レジオネラ属菌対策の運用状況のヒアリングからスタートし、つくば総合研究所での水質調査データに裏付けられた処理システムの構築を進めた。当初、温泉に含まれるアンモニアを利用して次亜塩素酸ナトリウムの注入だけで同等の効果が期待できるという分析結果が出ていたが、実際の現場では分析とは異なる反応が起きたという。まさに温泉は生き物、一筋縄ではいかない。矢後さんと栗原は現場でのテストを繰り返すことで、最終的に安定した消毒処理の運用を導き出すことに成功した。

“配管洗浄の回数が1/3、メンテナンス頻度も1/2に
目に見えるコスト軽減は、
お客様の満足につながる”

 通常の消毒からモノクロラミン処理システムに切り替えるにあたり、住民説明会の開催が求められた。アクアスはこの説明会に合わせてつくば総合研究所の水質分析結果や設置・ランニングコストの資料など、周到に準備を重ねていった。

矢後さんは、「処理を安定させるまでには濃度や薬品量、コストがかかるため薬品代の説明もしなければいけません。色々と大変なことも多かったのですが、この説明会用の水質分析・コストの資料は分析数値に裏付けられた信頼に足るもので、住民の皆さまの納得を得ることができました。」と振り返る。
 モノクロラミン導入後施設全体のレジオネラ調査を実施し、検査結果がまとめられた報告書には具体的な措置を講じていくための重点箇所が記載されていた。「この時は、日常の清掃業務にも問題があったことがわかり、結果として水処理の周辺業務改善まで再度見直すことができました。 また、温泉スケールトラブルが継続的に発生しており温泉水用防スケール剤スパキレートNS-100を提案。スパキレート採用後は、4カ月に1回行っていた配管の洗浄が年に1回になりました。結果、お風呂のろ過器で使用される砂の固着の延命ができ、ろ材交換が1年に1回から2年に1回へ回数を減らせています。モノクロラミン処理システムを導入時に多少コストがかかっても、アクアスさんの総合水処理技術で結果的に他の部分でかかっていたコストを抑える事ができました。この成功事例をきっかけに他の温浴設備にも展開し、良い効果が得られています。」と矢後さん。環境基準が厳格化しより高い水処理性能が求められる時代、アクアスの活躍シーンはさらに広がっていく。