2015.12.11
- レジオネラ文献
レジオネラ感染症の病態と治療
- 著者
- 比嘉太
琉球大学医学研究科感染症・呼吸器・消化器内科学 - 出典
- 第80回日本感染症学会西日本地方会学術集会後抄録
レジオネラは細胞内増殖菌であり、感染すると肺胞マクロファージや上皮細胞内で増殖し、さらに強い炎症と上皮障害を惹起し、重症化させる。早期診断と細胞内抗菌活性を示す抗菌薬など有効な抗菌薬投与が不可欠であるが、臨床像による鑑別は容易でない。近年、尿中抗原検出法の有用性が広く認められてきたが、時に陰性の症例もあることから臨床情報と併せて診断し、分離培養等の検査も必要である。重症化の要因として肺胞上皮障害の合併があげられるが、これにはレジオネラによる直接的な細胞障害、high mobility group box1蛋白が関与している可能性が認められた。以上からも、呼吸器感染症の重症化対策には肺胞上皮障害の制御が重要であり、大きな課題である。