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2015.12.11
  • その他

実験用循環式浴槽水浄化装置を用いた自然汚染、無殺菌状況下におけるレジオネラ属菌の消長

著者
大畑克彦1)、鈴木光彰1)、江塚安伸2)、曽布川尚民2)、杉山寛治1)
1)静岡県環境衛生科学研究所、2)大学産業株式会社
出典
防菌防黴学会第32巻第12号

目的
民間企業との共同研究により、レジオネラ殺菌に関する実験を行うための循環式浴槽水浄化装置を当研究所内に構築し、この装置を用いて自然汚染、無殺菌状況下の循環式浴槽水におけるレジオネラ属菌等の消長実験を行い、本菌の増殖機序や循環装置内の汚染箇所に関する基礎的データを得たので報告する。

方法
殺菌剤や殺菌装置を使用しない無殺菌状況下で循環ろ過を行った浴槽水について、自然汚染によるレジオネラ属菌、アメーバ、一般細菌、従属栄養細菌、有機物量などの経時的推移を調べた。

結果と考察
無殺菌状況下の循環浴槽水中における短期間での急激なレジオネラの増殖実態および本菌と他微生物間における食物連鎖的関係が示唆される成績が得られた。このため、実際の入浴施設において循環浴槽水の衛生管理に不備が生じた場合、前述の微生物間に捕食、宿主内増殖などの相互関係が作り出され、増殖したレジオネラ属菌は浴槽水を含む同一循環系統内全体を汚染してしまうと推察される。そのため、循環式浴槽水のレジオネラ対策としては、第一に循環系統全体におけるレジオネラ属菌定着阻止のための定期的な洗浄殺菌、第二にレジオネラ属菌増殖防止のための衛生管理手法の確立、そして第三に浴槽水中におけるレジオネラ属菌の効果的殺菌方法の確立が必要不可欠である。また、本菌増殖に重要な役割を果たしているアメーバの対策もレジオネラ増殖防止対策ニ繋がると考えられる。現在、本循環装置を活用し、各種殺菌装置や消毒薬の実証実験を積み重ね、最終的にレジオネラ汚染のない安全な浴槽水の創出を目指している。