2015.12.11
- レジオネラ文献
温泉水におけるLegionella属菌汚染と泉質に関する調査・研究
- 著者
- 笹原武志1)、菊野理津子2)、奥田瞬治2)、関口朋子1)、佐藤義則1)、高田陽子3)、青木正人2)、井上松久1)
1)北里大学医学部微生物・寄生虫学、2)(財)北里環境科学センター、3)北里大学医学部第5内科学 - 出典
- 感染症学雑誌第78巻第8号
全国の49温泉入浴施設から採取された温泉水の源泉および浴槽水についてLegionella属菌汚染の実態調査を実施した。その結果、検査対象とした温泉水105検体中52検体(49.5%)から地域性に関係なくLegionella属菌が検出された。検出率が最も高かったのは露天風呂(66.6%)で、温泉水の汚染生菌数は10〜<1、000cfu/100mLの範囲が最も多く全体の67.3%を占めていた。血清型別ではL.pneumophila erogroup(SG)4が最も多かった。同一施設の浴槽水から分離されたL.pneumophila SG4のPFGEパターンは同じであったが、源泉由来のそれとは異なっていた。また、Legionella属菌の汚染が確認された温泉施設の90%は循環方式を採用していた。これらの成績から、わが国における温泉入浴施設は同じ血清群で同一のPFGEパターンを示すL.pneumophilaに広く汚染されており、その汚染状況は温泉水の泉質によってかなり異なっていることが示唆される。