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2015.12.11
  • レジオネラ文献

循環式入浴施設におけるレジオネラ症集団感染事例

著者
宮崎県衛生環境研究所1)、国立感染症研究所2)
東美香1)、河野喜美子1)、齋藤信弘1)、鈴木泉1)、倉文明2)、前川純子2)、渡辺治雄2)
出典
感染症学雑誌 Vol.77 第77回 日本感染症学会総会学術講演 抄録

2002年7月、宮崎県にて、循環式温泉入浴施設を発生源とした集団感染が発生した。疫学的調査および細菌学的検査によって、レジオネラ症であることが判明したので、その概要を報告する。

方法
入院患者を中心とした95名の内、24名の喀痰25検体についてレジオネラ属菌の分離(培養法)、66名の血清124検体についてレジオネラ血清抗体価測定(マイクロプレート凝縮法)、75名の尿81検体について尿中抗原測定を行った。また、患者が共通して利用していた施設の浴槽水など51検体について培養法によりレジオネラ属菌の分離を行った。

結果
喀痰培養により3名からLegionella pneumophila血清郡(SG)1が分離された。また、血清抗体価測定により5名、尿中抗原測定により12名がレジオネラ症と確定された。施設の検査では、事件探知日に搬入された浴槽水からL.pneumophila SG1、SG8.L.dumoffiiL.londiniensisなどが検出された。患者および浴槽水から分離されたSG1についてPFGE解析を行ったところ、同一の泳動パターンを示したため、同一起源と考えられた。以上の結果により、今回の事例は循環式温泉入浴施設を原因としたレジオネラ症集団感染であることが判明した。