2025.11.27
- レジオネラ文献
Ethambutol inhibited the growth of acid-fast bacteria and enhanced the detection of Legionella in environmental water samples
- 著者
- HIROAKI INOUE, MARIN TAGUCHI, MANAMI KITAZUME, YUKIE SAITO, TOMOYUKI IWASAWA
- 出典
- Journal of Microorganism Control, Vol. 29, No. 1, 1-7 (2024)
DOI:https://doi.org/10.4265/jmc.29.1_1
レジオネラの平板培養法による検査において,寒天培地上に抗酸菌が増殖することでレジオネラの検出が妨げられることがある。そこで,抗結核薬が寒天培地上での抗酸菌の増殖を阻害するかどうかを調べた。まず,イソニアジド,エチオナミド,エタンブトールの抗酸菌およびレジオネラに対する抗菌活性を評価した。その結果,100 μg/mL以上のエタンブトールは抗酸菌の増殖を完全に阻害したが,エタンブトールを1,000 μg/mLまで増やしてもレジオネラの増殖を阻害しなかった。次に,酸性緩衝液に溶解したエタンブトールの効果を調べた。Legionella pneumophilaおよびMycobacterium spp.の懸濁液を混合し,エタンブトール添加酸性緩衝液を加えた。5分後,酸処理した懸濁液をGVPC寒天培地に接種し,36℃で6日間培養した。エタンブトールは寒天培地上で抗酸菌の増殖を抑制したが,レジオネラのコロニーは発育した。エタンブトールの効果は浴槽水を用いた評価でも顕著であった。1,302検体の浴槽水について評価したところ,エタンブトールを添加することで抗酸菌の検出率が30.6%から0%に低下し,レジオネラの検出率は7.1%から7.5%に上昇した。抗酸菌の増殖を選択的に抑制するエタンブトールは,寒天培地上でのレジオネラの検出率を向上させ,平板培養法によるレジオネラ検査の精度向上に貢献すると考える。