2025.11.26
- レジオネラ文献
黒湯(腐食質含有温泉)から分離されたLegionella pneumophilaに対する電解水の消毒効果
- 著者
- 安齋博文,石﨑直人,李 新一,古畑勝則(麻布大学)
- 出典
- 日本防菌防黴学会誌,Vol.46,No.8,pp.343−347(2018)
黒湯では塩素剤の消毒効果の低下が懸念されたことから,次亜塩素酸ナトリウムに代わる新たな消毒剤として電解水に注目し,その消毒効果について検討した。東京都品川区で採水した腐植質140 mg/Lの黒湯(pH 8.4)をろ過滅菌して試験水とし,黒湯から分離したLegionella pneumophila(37-3株)血清群1群を供試菌株とした。次亜塩素酸ナトリウムを用いた消毒実験では,残留塩素濃度0.8 mg/Lの場合,蒸留水中では60分経過後の死滅率は99.999%と高い消毒効果を示したが,黒湯中では95.142%の死滅率で,消毒効果は著しく低下した。一方,残留塩素濃度0.8 mg/Lの電解水の消毒実験の場合,蒸留水中では微酸性電解水と電解次亜塩素酸ナトリウム水は,ともに次亜塩素酸ナトリウムの場合と同様で60分経過後の死滅率は99.999%以上であり,良好な消毒効果が認められ,消毒剤による差異は認められなかった。一方,黒湯中では,微酸性電解水による60分経過後の死滅率は99.962%,電解次亜塩素酸ナトリウム水では99.671%であった。このように,黒湯中では,いずれの消毒剤も蒸留水と比較して消毒効果の減少が認められたが,微酸性電解水は次亜塩素酸ナトリウムと比較して2オーダー良好な消毒効果が得られた。