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2025.11.26
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川崎市におけるレジオネラ症患者からのレジオネラ属菌の分離状況とST1346の集積について

著者
淀谷 雄亮, 原 俊吉, 湯澤 栄子, 小嶋 由香, 本間 幸子, 前川 純子, 森田 昌知, 大西 真, 岡部 信彦
出典
感染症学雑誌, 96 巻 5 号 193-197(2022)
DOI:https://doi.org/10.11150/kansenshogakuzasshi.96.193

レジオネラ症はレジオネラ属菌による感染症で,日本国内で年々増加傾向にあるが,その大半は感染源を特定できていない。本研究では,患者から分離されたレジオネラ属菌の遺伝子分布を明らかにすることを目的に,2014年から2019年にかけて喀痰検体73検体を採取し,6症例からレジオネラ属菌を分離した。73症例中22症例でレジオネラ培養陽性となり,検出率は30.1%であった。22症例中21症例でLegionella pneumophila serogroup 1が分離され,1症例ではSG1とSG7の両株が同時に検出された。培養分離された6株は全てSG1株と同定された。合計28株のL. pneumophila SG1株について,SBT解析を行った。28株のうち19株は異なるSTに属し,そのうち5株はST1346,2株はST89,ST92,ST142であった。さらに,レジオネラDNA陽性で培養陰性の喀痰6株についてnested-SBT解析を行ったところ,そのうち3株は単一のSTであることが確認された。最も多く分離された株はST1346であった。5株のうち4株は2016年11月の短期間に分離され,5株目は11ヶ月後に分離された。ST1346の5株について全ゲノム解析を実施した結果,分離株間に3~6個のペアワイズ一塩基変異(SNV)の差異が確認された。これは,分離株が密接に関連しており,共通感染源が認識されていなかった連続したレジオネラ症の症例であることを示してる。SBT解析を迅速に実施して疫学調査に反映させることにより,より詳細かつ正確な調査を実施でき、アウトブレイクの早期発見につながる。