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2025.11.26
  • レジオネラ文献

医療機関の給水設備におけるレジオネラ属菌の汚染実態

著者
大屋 日登美, 鈴木 美雪, 政岡 智佳, 中嶋 直樹, 古川 一郎, 前川 純子, 倉 文明, 泉山 信司, 黒木 俊郎
出典
感染症学雑誌,92 巻 5 号 678-685(2018)
DOI:https://doi.org/10.11150/kansenshogakuzasshi.92.678

レジオネラ症の院内感染は病院の給水系へのレジオネラ属菌の定着と関連していることが報告されている。感染を防ぐためには給水系のレジオネラ属菌の定着を調査する必要がある。本研究は,レジオネラのDNA検出および培養法を用いて,神奈川の3つの病院の給水系におけるレジオネラ属菌の定着レベルを調べることを目的とした。水試料は蛇口とシャワーから採取し,拭取り試料は蛇口とシャワーヘッドの内側を拭いて採取した。3つの病院の給水系から採取した水試料では,それぞれ26.7%,37.5%,66.7%,拭取り試料では0%,14.3%,7.7%でレジオネラの培養検査が陽性であった。水試料では,それぞれ6.7%,93.8%,60.0%,拭取り試料では0%,7.1%,0%でレジオネラのDNAが検出された。給水系からはLegionella pneumophila serogroup 1,SG5,SG6,L. feeleii SG1,およびLegionella sp. L-29が分離された。残留塩素濃度は多変量ロジスティック回帰分析の結果,給水系におけるレジオネラ属菌の定着と逆相関関係を示した。本研究は病院給水系がレジオネラ属菌に高度に汚染されていることを示唆している。病院給水系においては,レジオネラ属菌の定着を防ぐための対策を講じる必要がある。