レジオネラニュース

浜松の老人施設でレジオネラ菌検出、男女浴場利用停止-静岡県

2016/02/17付の静岡新聞によると、浜松市は16日、同市南区の市老人福祉センター「可美荘」の女性浴槽からレジオネラ属菌が検出されたと発表、同日から当面の間、男女浴場の利用を停止する。市高齢者福祉課などによると、2カ月に1度の自主検査で4日に採取した水から基準値を上回る菌が検出されたことが16日に判明、男性浴槽からは検出されなかったという。

レジオネラニュース

奥州のプールでレジオネラ菌-岩手県

2016/02/17付の毎日新聞地方版によると、奥州金ケ崎行政事務組合は16日、同組合運営の奥州市の胆江地区広域交流センター内屋内プールから基準値超のレジオネラ菌を検出したと発表、同日から同プールを使用停止とした。
組合によると年に2回定期検査しており、今月の検査で検出した。プールや配管、ろ過器などの消毒や洗浄をして、再検査で問題がなければ再開するという。

レジオネラ文献

日本で分離されたLegionella pneumophila血清群1のsequence-based typing法による解析

レジオネラ症起因菌の8割を占めるL. pneumophilla血清群1の患者由来株196株をsequence-based typing(SBT)法により遺伝子型別した。環境由来株344株も合わせて、minimum spanning treeを作成したところ、9つの大きなグループが形成された。主に感染源不明の臨床由来株からなるグループ(U)以外は、環境由来株の由来毎にグループが形成された。浴槽水由来株の多くが属する3つのグループ(B1,B2,B3)、土壌由来株のほとんどを含む3つのグループ(S1,S2,S3)、冷却塔水由来株が属する2つのグループC1,C2)である。患者由来株の分布は各グループおよびクループ外に散在していたが、感染源が浴槽水と推定あるいは確定している119株のうち77株(65%)がB1-3グループに属していたのに対し、それ以外の感染源あるいは感染源が不明の117株中B1-3グループに属するものは36株(20%)だった。畑仕事等の土壌や、塵埃などが感染源として推定されている患者由来株は18株と少なかったが、そのうち16株が、S1-3グループに属していた。したがって感染源不明の臨床分離株がどのグループに属するかを調べることにより、遺伝子型から感染源の種類が推測できる可能性が示唆された。

レジオネラ文献

レジオネラ菌は小胞体内での移行にRab4及びRab10を利用する

レジオネラ菌は、宿主細胞内の膜輸送および膜融合機構を操作することで宿主内での生育及び増殖を可能としている。また、この操作の過程においてレジオネラ菌から宿主細胞に放出されるレジオネラエフェクターが必須の役割を果たしている。これまでの研究により、レジオネラエフェクターであるLidAと宿主細胞内に存在する低分子量GTP結合タンパク質であるRab4及びRab10との結合を見いだした。レジオネラ菌感染が小胞体においてこれらRabタンパク質を利用しているのかは明らかになっていない。
本研究ではレジオネラ菌が小胞体との融合過程において、滑面小胞体より小胞体内に侵入した後、粗面小胞体へと移行することを明らかにした。また、Rab10の発現抑制でレジオネラ菌と滑面小胞体との融合が阻害され、Rab4の発現抑制で粗面小胞体への移行が阻害されていることを見いだした。さらに、Rab10及びRab4はそれぞれ滑面小胞体、粗面小胞体形態維持タンパク質と結合することを明らかにした。

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水たまり中に生息するレジオネラ属菌の多様性に関する研究

レジオネラ症を引き起こすレジオネラ属菌は、環境中の至る所に生息している。道路の水たまりは自動車による水しぶきを吸引する可能性があり、日本国内では東京都と富山県の水たまり中のレジオネラ属菌の生息状況について研究が行われ、レジオネラ属菌が検出されている。
本研究では、水たまり中に生息するレジオネラ属菌の多様性について明らかにすることを目的として、東京都45か所51検体、神奈川県4か所4検体の水たまりを培養や遺伝子レベルの解析により調査した。
Legionella pneumophilla serogroup 5とLegionella beliardensisを直接培養法で分離することができた。リアルタイムPCRでは、1.42×10〜7.22×104CFU相当/100mLのレジオネラ属菌が検出された。また、濃縮検体からの直接遺伝子解析により
L. pneumophillaを始め、多様なレジオネラ属菌のmip遺伝子が検出された。得られたmip遺伝子の配列は、既存種と一致しない配列も多く、分子系統樹を作成したところ、地域による固まったグループは形成していなかった。これらの結果から、道路の水たまりはレジオネラ症の感染源の可能性が示唆された。

レジオネラ文献

BCYE培地を改良したレジオネラ用固形培地

レジオネラ属菌の培養にはBCYE培地が長く使用されてきた。本研究では、活性炭末を添加せず、より廉価な培地の開発を目的とし、様々な組成の培地を作製し、レジオネラ属菌の培養を行った。その結果、1)活性炭の代わりにスターチとα-ケトグルタル酸を添加する、2)緩衝材としてACESの代わりにMOPSを用いる、3)寒天はNoble agarを使う必要性は無いことがわかった。また、鉄イオンやL-システインの添加量の検討も行った。従来のBCYE培地同等のコロニー形成能や好気条件下での保存期間を保持し、尚且つより安価で作製できる培地の組成を決定した。

レジオネラ文献

レジオネラ感染に関わるRabタンパク質の同定及びレジオネラ菌の小胞体定着化機構

レジオネラ菌は感染後に自らの構造をERGICに擬態させることで細胞内での生存を可能としている。また、この一連の感染経路にはレジオネラ菌より宿主細胞に放出されるレジオネラエフェクターが必須な役割を果たしている。
宿主細胞内において膜輸送をコントロールするいくつかのRabタンパク質がレジオネラ小胞(LCV)の小胞体への移行および定着化に機能していることを報告する。また、小胞体へ到達したレジオネラ菌が滑面小胞体より小胞体内に侵入し、粗面小胞体まで移行した後に増殖していることを見出した。さらに、滑面小胞体から粗面小胞体への移行において宿主細胞の小胞体形態維持タンパク質の機能をハイジャックしている知見も得ているので合わせて報告する。

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レジオネラと宿主真核細胞の相互作用

レジオネラは自然界では自由生活性アメーバを自然宿主とする、ありふれた細胞内寄生性細菌でありながら、一旦人に感染すると肺胞マクロファージに感染・増殖し、最終的に重篤な肺炎を引き起こす。レジオネラの非常に広範囲の真核細胞内で生存・増殖できる能力を担うのは、レジオネラ全タンパク質の約1割を占めるエフェクタータンパク質群およびこれを輸送するIV型分泌系である。本稿では我々の研究を中心に、レジオネラと真核細胞の相互作用の分子基盤について概説する。

レジオネラ文献

レジオネラ症の国内外の動向

患者発生状況
レジオネラ症は4類感染症(全数把握)であり、診断した場合にはただちに保健所に届ける義務がある。患者の届出数は2004年までは年間150例程度であったが、2005年から増加し新型インフルエンザの大流行があった2009年にいちど減少したものの、その後一貫して増加している。2014年は暫定値ながら1,236例となった。

環境における生息状況
現在、レジオネラ属菌には57種が報告されていてそのうち、人から分離あるいはDNAが検出された菌種、肺炎患者で血清抗体価の上昇をもたらした菌種は30種である。道路の水たまりやシャワー水(浴用施設)の検出率が高く、次いで浴槽水、冷却塔水、修景水となっている。多数の加湿器の調査はまだなされておらず検出率は不明である。

培養法(斜光法)
実体顕微鏡を用いてコロニー観察し、その特徴的なモザイク様コロニーの外観を観察すること、コロニー由来のDNA検査を合わせて実施すること、長波紫外線下の青色自発蛍光観察と組み合わせることによって多様性のあるレジオネラの菌株を、3日目まで培養を短縮し分離できる。

遺伝子迅速検査
平成27年3月末に「循環式浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアル」が厚生労働省健康局生活衛生課長通知として改正され、迅速検査の利用が記載されている。塩素消毒すると菌は増殖できなくなり培養法で不検出となるが、核酸はしばらく残り検出される。レジオネラの核酸が検出されることは、レジオネラの増殖する環境が存在したことを示唆し、洗浄効果の判定(陰性証明)とともに衛生管理に役立てることができる。
伝子増幅による生菌の選択的な検出は、EMA処理により死菌由来のDNAの増幅を抑制することで実現され、培養法との相関という意味では冷却塔水より浴槽水の検査に適している。LC ENA qPCR法は平板培養法と高い相関を示した。EMA qPCR法の平板培養法に対する感度、特異度は、いずれもLA MP法より高かった。LC EMA qPCR法と平板培養法の菌数比較では高い相関を示し全体として平板培養法の菌数を反映していた。

ATP測定を利用した衛生管理
ATPを利用して日常的にバイオフィルムや浴槽水中の菌数を管理すれば、レジオネラ検出率を低くすることが可能である。ATPにより相対発光値を閾値以下に保つことによりレジオネラの汚染リスクを下げる衛生管理方法を例示した。

国内散発事例
日本では7月にレジオネラ症の患者が多く、梅雨時期の温度と湿度が菌の増殖に都合が良いためと考えられている。家庭の24時間風呂で感染した事例、少数の菌でも感染する溺水事例、24時間風呂における水中出産による新生児感染事例、腐葉土からの感染事例、高圧洗浄機を使用して感染した事例、公衆浴場のシャワーからの感染事例、太陽熱温水器を利用した給湯系からの感染事例がある。

国内集団感染事例
日本における2008年以降の集団感染の事例では、1事例あたり2〜9例の確定症例が報告されている。高齢者福祉施設の事例を除き全て入浴設備が感染源となっているのが特徴である。

海外散発事例
日本で報告されていない事例としては、歯の治療に関連して感染した事例、粉ミルクによる新生児の感染事例が報告されている。

海外集団感染事例
海外の大規模な集団感染事例では、入浴設備による感染は少数で、冷却塔を感染源とするものが多い。50名以上の患者の報告された事例は少なくとも34件ある。

外部精度管理
適切に検査されず非検出あるいは検出される菌数が少ない検査機関に検体が集まることがないように、検査機関の外部精度管理が必要である。ヨーロッパなどではHealth Protection Englandにより、米国では米国CDCにより実施されている。

分子疫学
SBTにより、結成分1の国内分離株を遺伝子型でグループ分けすると、浴槽水分離株が多く含まれるB1、B2、B3、冷却塔水分離株が多く含まれるC1、C2、土壌水たまり分離株が多く含まれるS1、S2、S3、感染源不明の臨床分離株が多いUグループの大きく9つに分かれることを見出した。

防止対策
遊離塩素消毒がすべての浴槽の安全を担保するとはいいがたい。研究班では、米国の水道で実用化されているモノクロラミン消毒に着目し、モノクロラミン消毒の入浴施設への応用について検討を行った。改正された「循環式浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアル」で、モノクロラミン消毒が掲載された。

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レジオネラ属菌と給湯設備

厚生省(現厚生労働省)を中心にレジオネラ属菌に関わる調査・研究・検討が進められ、これらの成果は厚生省生活衛生局長通知や告知、建築物衛生法施行令などに反映されてきた。レジオネラ症の防止指針策定に向け、平成4年度に「在郷軍人病予防のためのガイドライン作成調査」を実施し、翌年度に「レジオネラ防止指針(第1版)として発行された。平成11年には給水・給湯設備、冷却塔と冷却水系、加湿器、水景施設、蓄熱槽、循環式浴槽等に着目して第2版「新版レジオネラ症防止指針」が発行され、平成21年に未然防止から早期発見・早期治療、感染拡大防止を目的とした第3版「レジオネラ症防止指針」が発行された。

循環式を採用している給湯設備においては塩素消毒の効果は期待できず、システム内のいずれかの個所で常時温度が55℃未満になる場合には、レジオネラ属菌が発生する可能性が極めて高くなることがうかがい知れる。現在、循環式給湯方式が採用される中央給湯設備、スポーツ施設、浴場施設等での循環式浴槽設備に対するレジオネラ症防止に関わる法的基準および指針等において、設計や維持管理に関わる内容はかなり充実してきている。

労働安全衛生法において給湯ボイラや貯湯槽には、温度上昇に伴う膨張を吸収するための逃がし管または逃し弁の設置が義務付けられており、逃がし管が設けられてきた貯湯槽は多く存在する。1970年代に都内に竣工したAホテルの貯湯賞からの逃がし弁を対象としてレジオネラ属菌の調査を行った。12検体のうち、8検体からレジオネラ属菌が検出された。レジオネラ属菌が発生していた主要因として、逃し管内の水温が低いことが挙げられた。