福岡市内のビル冷却塔稼働期間中におけるレジオネラ属菌の菌数変動.

平成6年6月〜10月の間、福岡市内の特定建築物37施設の54基の冷却塔を調査対象とし、各冷却塔毎に月1回、合計3〜5回冷却水の採取を行ない、レジオネラ属菌数、藻類の有無、濁度、水温、清掃状況、水処理剤の使用状況について調査した。その結果、期間中に少なくとも1度はレジオネラ菌が検出された冷却塔は54基中49基であった。また月別の検出状況をみると、8月が81.5%と最も高く、平均検出率は75.0%であった。

日本の冷却塔水中のレジオネラ属菌の分布

1987年から1992年迄の6年間に採取した、日本全国の水処理剤を加えていない冷却塔述べ1407基の冷却水のレジオネラ属菌の検出状況を集計した。その結果、856検体(60.8%)から本菌が検出されていた。本菌は、未処理の冷却水の45.0%に102〜104CFU/100ml生息しており、0.3%には105CFU/100mlを超えて生息していた。月別検出率では6〜9月の夏期に高い値を示した。

日本の温泉水中のLegionella属菌の分布

日本国内の1道、12県にわたる40温泉の浴槽水を対象に、Legionella属菌の分布状況を調べたところ、計17(42.5%)の温泉から本菌が検出され、16温泉からの菌株はL.pneumophilaと同定された。温泉水100ml当りの菌数は、103が1件、102台と101台がそれぞれ8件であった。pH6台とpH7台の温泉水における本菌の陽性率が高い傾向が認められた。

札幌市内の冷却塔水におけるLegionella属菌の検出状況について

平成3,4年に、札幌市内の特定建築物35施設の冷却塔について、Legionella属菌の検査を行ったところ、15施設(42.9%)からLegionella pneumophilaが分離され、1群が15株、4群が1株であった。平成4年度は、冷却塔の清掃後における本菌数の経日的変化を調査し、除菌剤を使用した場合には約2週間程度は増殖を抑制できることを確認した。

近畿地方のクーリングタワー水からのLegionellaの分離

大阪府、兵庫県及び奈良県下のビル86棟及び兵庫県西宮市内のビル35棟について、クーリングタワーのLegionella分布の実態を調査した。分離平板は前者はBMPAα寒天培地、後者はMWY寒天培地を用いた。前者の86検体のうちの48.8%から52菌株が分離され、Legionella pneumophila SG1が28株で最も多かった。後者の35検体のうちの65.7%から40菌株が分離されたが、これまで本邦ではほとんど検出されていなかったL.anisaが18株あり、L.pneumophila SG1(17株)より多く分離された。

埼玉県におけるLegionella属菌の環境分布調査

埼玉県内における冷却塔水20検体中13検体(65%)からLegionella属菌が分離された。河川水では、19検体中2検体(10.5%)から、土壌では23検体中1検体(4.3%)から本菌が分離され、本県においても広く分布していることが認められた。また、分離培地については、MWY培地からの分離率が最も高い結果であったが、選択培地を併用することは、分離率向上に有効であると考えられた。

空調用冷却塔水におけるレジオネラ属菌の生息状況

1987年から3年間、都内174箇所の空調用冷却塔について、レジオネラ属菌の生息状況を調査した結果、50.8%の冷却塔水からLegionella pneumophilaを優占種とした本菌が検出され、101〜105個/mlのオーダーで生息していることがわかった。このL.pneumophilaとともに5箇所の冷却塔からL.dumoffii、L.anisa、L.birminghamensisが低率ながら分離され、後二者は我国では初めての検出例であった。特に本菌を多く検出した冷却塔には、OscillatoriaNitzschia等の藻類や細菌ではPseudomonas vesicularisが多く増殖している共通した傾向が認められた。

クーリングタワー冷却塔水からのLegionella pneumophilaの分離について

松江市内の16施設の冷却塔36基から、稼動開始時と稼動期間中の2回、冷却塔水を採取し、検査した結果、58.3%の冷却塔からLegionella pneumophila SG1が分離され、藻が発生している冷却塔水で分離率が高かった。又、薬剤使用の冷却塔水からの本菌の分離率は28.9%と、未使用の冷却塔水の73.5%に比較して低かった。又、菌数は、稼動開始時と比較して稼動後の方が増加し、月別の推移でみると7月から8月に最も多かった。

千葉県における冷却塔冷却水からのLegionellaの分離

1987年12月から1988年8月まで、千葉県内の冷却塔冷却水及び河川水からのLegionellaの分離を試みた結果、冷却水の91.2%から本菌を検出したが、河川水からの分離はみられなかった。分離された本菌84株はすべてL.pneumophilaで、その菌数は冷却水100ml当り101〜104であった。L.pneumophilaのserogroupは、1が62%、4が38%であった。16株について薬剤感受性試験を行ったところ、いずれの薬剤にも感受性であった。

冷却塔水からのLegionella属菌検出状況

1986,1987年に広島県内ののべ32基の冷却塔水のLegionella属菌を調査し、78.1%の冷却塔水からLegionella属菌を検出した。検出したL.pneumophilaの生菌数は6×10-1.8×104CFU/100mlであった。菌検出の内訳はL.pneumophila SG1が21株、SG5が7株、SG6が4株、血清群不明が1株であった。検出菌のうちL.pneumophila SG1は県内に広く分布しているものと推察された。