銅管のLegionella pneumophilaに対する抗菌効果

目的
人工生活環境水系からの感染予防に資する銅管の活用法を探るべく、銅管を含めた各種配管におけるL.pneumophila殺菌効果を比較検討した。

方法
銅管、硬質塩ビ管、塩ビライニング管、ステンレス管、ポリエステル管、架橋ポリエチレン管、ポリデテン管の7種類に菌液を接種し、24時間後の生菌数を定量した。

結果と考察
銅管における生菌数が反応5時間目には-log5.5そして24時間目には検出限界以下にまで有意に減少した。しかし、銅以外の素材の配管ではそのような効果は全く認められなかった。これらの成績は銅管のもつ優れた抗菌性を示すものであり、その利用のひとつとして人工生活環境水系におけるLegionella属菌の汚染防止対策への活用があると考えられる。

庭土が感染源と疑われたLegionella longbeachaeによる重症肺炎の1例

目的
今回、庭土が感染源と疑われたレジオネラ肺炎を経験したので報告する。症例・72歳男性・主訴:慢性腎不全透析導入目的で某病院に入院。この時、発熱は認めるが胸部X線は異常なし・生活歴:趣味は園芸、入院1週間前にも土いじりをしていた・

経過
入院より4日後右下肺野に湿潤影出現、炎症反応の上昇を認め、MEPM等の抗生剤投与をされるが、呼吸状態が悪化し、人工呼吸器管理となり、当院に入院となった。結果レジオネラ尿中抗原は陰性であったが、入院時の喀痰培養により、レジオネラ菌が検出されたため、MEPMを中止し、CPFX、EMに変更。その後、経過良好で退院した。患者が園芸が趣味であることから自宅の庭土と肥料を検索したところ、庭土からL.pneumophilaが分離された。現在、パルスフィールドゲル電気泳動による遺伝子レベルの総銅性を検討中である。

環境水中からのLAMP法を用いたLegionella属菌迅速検出に関する検討

目的
LAMP法を原理とするLoopamp(栄研化学)を用いLegionella属菌の検出について各種検討を行った。

方法
検出限界の確認として滅菌精製水にL.pneumophilatype strainを約106〜101CFU/100mLとなるように添加し、冷却遠心濃縮法に準じ処理後、LAMP法による検出を行った。また、Legionella以外の5菌種を用いて同様に処理を行い特異性を確認した。

結果と考察
L.pneumophilaを添加した場合、100CFU/100mLの菌量を含むサンプルで陽性となったが、10CFU/100mLでは陰性となった。また、Legionella以外の5菌種は陰性となり交差反応を認めなかった。以上の結果より、LAMP法は非特異的反応が少ない検出法であるといえる。検体処理を含めても数時間で結果が得られることから迅速かつ確実な感染防止対策に有用であると考えられた。

新規殺菌セラミックによるLegionella pneumophila殺菌効果に及ぼす温泉水泉質の影響

目的
新規殺菌セラミックによるL.pneumophila殺菌効果に及ぼす温泉水泉質の影響について検討した。方法泉質の異なる9種類(硫黄泉、炭酸水素塩泉Na型、塩化物泉、冷鉱泉、鉄泉、硫酸塩泉、単純温泉、塩化物強塩泉、放射能泉)の温泉水を用いて当該セラミックのL.pneumophilaに対する殺菌効果を検討した。

結果と考察
温泉水の泉質によって当該セラミックの殺菌効果が異なることが明らかとなった。即ち、処理24時間目においてkilling rateで単純温泉>硫黄泉>炭酸水素塩泉Na型であり、特に、塩化物強塩泉での生菌数は検出限界であった。一方、硫酸塩泉や冷鉱泉は僅かの生菌数の減少を認めるに過ぎなかった。このことから当該セラミックはわが国の温泉の9割を占める泉質(単純温泉、塩化物泉、硫黄泉、炭酸水素塩泉Na型)の温泉水において優れたLegionella属菌殺菌効果を発揮することが推察される。

海外旅行中に発症し、帰国後の尿中抗原検査にて診断されたレジオネラ肺炎の1例

目的
ヨーロッパ(トルコ)旅行中に発症し、帰国後に施行した尿中抗原検査にて早期に診断することができたレジオネラ肺炎の1邦人例を経験したので報告する

症例
・75歳、男性・主訴:発熱、呼吸困難、全身倦怠感
・職業:20〜40歳鉱山勤務、41歳〜事務職
・喫煙歴:20〜40本/日、20年間
・経過:旅行中温泉水の引かれたホテル自室のバスルームを使用。帰国前に腰痛が出現、次いで熱感・呼吸困難を伴うようになった。帰国後、全身倦怠感が強くなったため当院救急外来を受診。肺炎と診断されたため同日緊急入院した。

結果と考察
ヨーロッパ・レジオネラ感染症ワーキンググループでは1987年から毎年、加盟国(2001年度は31か国)におけるレジオネラ肺炎の発生状況をまとめており、2001年の報告では年間3、470名がレジオネラ肺炎を発症し、旅行による感性例が約20%を占めている。その中の62%が国外への旅行で旅行先のほとんどがヨーロッパ圏内。国別ではイタリア、フランス、トルコ、スペイン、ギリシャの順に多く、旅行者100万人あたりのレジオネラ肺炎罹患率でみると、イタリア3.7人、フランス0.7人、スペイン3.1人に対してトルコは16.0人と最も高率であった。出発前の体調には問題なく、24時間風呂の使用や国内の温泉利用歴も無いことから本症例はトルコ10日間の旅行中に感染した可能性が高いと考えられた。

レジオネラ生菌のマイクロコロニー法による迅速高感度定量

目的
レジオネラ症のアウトブレイク防止にはレジオネラ生菌の迅速な定量が重要である。そこで、増殖する細菌を検出可能なマイクロコロニー法に着目し、レジオネラ生菌の定量を試みた。

方法
標準菌株としてLegionella puneumophila serogroup 1を用い、マイクロコロニー形成条件を検討した。決定した条件を用いて、水環境試料中のレジオネラ生菌の定量を行った。

結果
従来法でレジオネラ属菌が検出された試料すべてにおいて、同等以上の感度でマイクロコロニー法で検出できた。この結果から、マイクロコロニー法を用いることにより、レジオネラ生菌を迅速に定量できることが分かった。

浮遊レジオネラ属菌の捕集方法

目的
現在、空気中に浮遊するレジオネラ属菌を検出する方法は確立されていない。そのため、ネブライザーおよび既存の多孔板式エアサンプラーを用いた測定法を検討した。

方法
クリーンボックス内で、ネブライザーにより飛散させた菌液を、エアサンプラーを用いて吸引し、培地に吹き付けた。培養後、菌液濃度と捕集菌数、捕集効率を比較検討した。気泡浴槽モデルを作成し、同様の調査をした。

結果
捕集は可能であり、菌液濃度と捕集菌数との間には、良好な相関関係が認められたが、通常の浴槽モデルと気泡浴槽モデルでは飛散量が大きく異なった。

レジオネラ属菌の選択培地に添加する抗真菌剤の検討

目的
レジオネラ菌を検出する際には、他の細菌や真菌類が邪魔となる.真菌類は低pHに耐性を持つものが多く、酸性緩衝液の前処理の効果は薄い。今回は、選択培地での真菌汚染を減少させるために、抗真菌剤の検討をおこなった。

方法
シクロヘキシミド(CH)、アンホテリシンB(AMPH)、グリセオフルビン(GRF)、チアベンダゾール(TBZ)を用いた。レジオネラに対する抗菌活性、及び組合わせによる抗真菌作用を評価した。

結果
いずれもレジオネラの選択培地として使用可能であった。CHとAMPH、CHとTBZの組み合わせは真菌類に対する発育阻害効果が高く、レジオネラの発育には影響を与えないことから、これらを組合わせて添加した選択培地はレジオネラ検査に有効であると考えられる。

レジオネラ属菌培養に影響する真菌抑制方法の検討

目的
冷却遠心濃縮法では、混入微生物の影響でレジオネラ属菌の有無の観察が不可能になる場合がある。この影響を低減させるため、特に影響が大きいと考えられる真菌について、薬剤を使用した抑制法の検討をおこなった。

方法
0.2M HCl-KCl緩衝液による酸処理、50℃30分の熱処理をおこなった。共に無効で大きく生育した真菌のうち8種をWYOαで培養し、抗真菌剤アンホテリシンBをコロニーに滴下して生長を観察した。

結果
7種の真菌に対して発育抑制作用が良好となり、レジオネラ菌には影響がなかった。アンホテリシンBはもともと培地に添加されているが、直接作用させることで効果がでるという結果となった。

遺伝子増幅法を用いたレジオネラ属菌検出キットと培養法によるレジオネラ属菌検出状況の比較

目的
浴槽水や冷却水等の生活環境水を用いて、培養法とLAMP法の検出状況を比較し実用性を検討した。

方法
培養法はレジオネラ症防止指針に従った。LAMP法は検水を100倍濃縮し、Loopampリアルタイム濁度測定装置を用いた。

結果
陽性率は培養法で35.5%、LAMP法で63.2%であった。また、培養法で不検出だった100検体中48検体は、LAMP法で陽性と判定された。培養法で陽性だった55検体中、LAMP法では50検体が陽性で5検体が陰性と判定された。