遺伝子増幅法を用いたレジオネラ属菌検出キットと培養法によるレジオネラ属菌検出状況の比較

目的
浴槽水や冷却水等の生活環境水を用いて、培養法とLAMP法の検出状況を比較し実用性を検討した。

方法
培養法はレジオネラ症防止指針に従った。LAMP法は検水を100倍濃縮し、Loopampリアルタイム濁度測定装置を用いた。

結果
陽性率は培養法で35.5%、LAMP法で63.2%であった。また、培養法で不検出だった100検体中48検体は、LAMP法で陽性と判定された。培養法で陽性だった55検体中、LAMP法では50検体が陽性で5検体が陰性と判定された。

レポーター・キャプチャープローブを用いたLegionella属菌のバイオキャタリティックDNAセンサの構築

目的
Legionella属菌の迅速かつ簡便な検出方法の確立が求められている。Legionellaが保有するmipまたはLfur領域をTargetDNAとし、電気化学的検出を目的としたDNAセンサの構築を試みた。プローブに耐熱性酵素を用い、操作の簡便なDNAセンサの構築をおこなった。

方法
交互積層法によりメディエータを修飾し、最外層にアビジンを固定化したカーボン印刷電極を調整した。また、TargetDNA、5、3末端プローブをサンドイッチハイブリダゼーションさせ電極上に固定化した。

結果
電極を溶液に浸漬し、一定の印加電圧を与えながら酵素反応の基質を添加すると、酵素反応に基づく電流の増大が確認された。一定量の基質存在下では、電流応答はTargetDNA量に依存し、pmolオーダーでの検出が可能であった。

浴水中のLegionella属菌の定量リアルタイムPCR迅速検出について

目的
浴水中のLegionella属菌のを迅速に検出するため、Molecular beacon(MB)による定量リアルタイムPCR(qPCR)法を検討した。

方法
MBは16rRNAgeneをターゲットとした。浴場水は培養法で使用したものをさらに5倍濃縮し、DNAを抽出した。

結果
MB- qPCRは定量法に優れ、検出感度は菌液に換算して102CFU/mL前後であり、培養法に比べ2オーダー程度高めであった。培養法でLegionella属菌が不検出であった試料のうちMB- qPCR法で陽性のものもあり、結果は一致しなかった。

LAMP法を用いた浴槽水のレジオネラ迅速検査しついて

目的
レジオネラの感染拡大を防ぐためには、迅速な検出方法を確立しなければならない。そこで、PCR法以外の遺伝子増幅法であるLAMP法により、浴槽水のレジオネラ属菌の迅速検査を行い、培養法との比較検討を行った。

方法
浴槽水を採取し、冷却遠心濃縮法により100倍濃縮をおこなった。検出試薬キットを用い、リアルタイム濁度測定装置により本菌遺伝子の検出をおこなった。培養法では濃縮液の一部を50℃20分加熱後、WYOα培地で1週間培養後、同定を行った。

結果
LAMP法・培養法ともに陽性が14.5%、陰性が60.5%であった。LAMP法陽性・培養法陰性は18.4%で、これは死菌やVNCであると考えられる。LAMP法は簡易かつ迅速にレジオネラ属菌の汚染状況を把握できる、有効な方法であると考えられる。

レジオネラ研究に関するフローサイトメトリー有効活用の検討

目的
寒天培地によるコロニー計数法では、菌濃度が当初の目標範囲を超えていた場合、実験結果が得られないという欠点がある。そのため、実験開始時に正確な菌濃度を知る方法が必要である。

方法
フローサイトメトリー法を原理とする迅速微生物計数結果
レジオネラ、及びアメーバの計数について検討し、その可能性を見出だした。

給湯設備内から検出された:Legionella属菌の遺伝子解析

目的
給湯設備内から検出したLegionella属菌種の同定を行うために、PCR産物の塩基配列を決定し、解析を行った。

方法
PCR法によりLegionella属菌16SrRNAの一部分を増幅し、電気泳動で増幅産物を確認。それをゲルより切り出し、direct sequencingにより塩基配列を決定し解析した。結果
給湯水中に多数のLegionella属菌が存在することが確認された。Legionella属菌が検出された場合には、設備全体の汚染の可能性があり、適切な維持管理が必要である。

環境水中からのLAMP法を用いたLegionella属菌迅速検出に関する検討

目的
LAMP法を原理とするLoopamp(栄研化学)を用いLegionella属菌の検出について各種検討を行った。

方法
検出限界の確認として滅菌精製水にL.pneumophilatype strainを約106〜101CFU/100mLとなるように添加し、冷却遠心濃縮法に準じ処理後、LAMP法による検出を行った。また、Legionella以外の5菌種を用いて同様に処理を行い特異性を確認した。

結果と考察
L.pneumophilaを添加した場合、100CFU/100mLの菌量を含むサンプルで陽性となったが、10CFU/100mLでは陰性となった。また、Legionella以外の5菌種は陰性となり交差反応を認めなかった。以上の結果より、LAMP法は非特異的反応が少ない検出法であるといえる。検体処理を含めても数時間で結果が得られることから迅速かつ確実な感染防止対策に有用であると考えられた。

環境水中Legionella属菌の迅速検出法

目的
現在、環境水中のLegionella属菌の検出方法は培養法であるが、分離〜同定までに7〜10日を要し、迅速性に問題があった。そこで我々は、新に開発された二つの迅速検出キット「Cycleave PCR Legionella Detection kit」および「Bet-Side ICAN Legionella Detection kit」(いずれもタカラバイオ)を用い、環境水中のLegionella属菌DNAの迅速検出を試み、あわせて培養法との相関性を検討した。

方法
民間入浴施設などから採取した浴槽水サンプルおよびビルの冷却塔水サンプルを用い、検体前処理法としてろ過濃縮法および遠心濃縮法およびBet-Side ICAN法の感度、特異性を検討した。

結果と考察
高感度で安定した性能を示した。また、高感度ゆえ、培養法陰性検体での陽性率が高く、培養法との乖離が認められたが、ROC曲線によるカットオフCt値の検討により特異性の改善が可能であった。測定時間は、Cycleave PCR法で検体前処理から検出まで約3時間、Bet-Side ICAN法で約2時間と迅速であり、温泉や公衆浴場、冷却塔水などの環境水サンプル水中Legionella属菌の迅速スクリーニングに利用できると考えられた。

LAMP法、PCR法を用いた浴槽水レジオネラ属菌の迅速検査に関する調査研究

浴槽水中のレジオネラ属菌の迅速検査法としてLAMP法およびPCR法を実施し、培養法による検査成績と比較を行った。その結果、LAMP法では培養法で陽性となった検体全てを検出することができた。それに対してPCR法は培養法と近い一致を示したが、残念ながら3検体検出できなかった。従って、LAMP法は偽陰性がなく、PCR法は3検体の偽陰性が存在した。これらの結果から、LAMP法およびPCR法は培養法を補うレジオネラの迅速検出法として大変有効な手法であると考えられる。

Improved Acid Pretreatment for the Detection of Legionella Species from Environmehtal Water Samples Using the Plate Culture Method

環境水から培養試験によってレジオネラを検出する際、レジオネラ以外の細菌類の影響を除去するために試料水の酸処理を行うが、通常用いられている0.2MHCl-KCl緩衡液(pH2.2)ではアルカリ度の高いものや緩衡作用の強いものが含まれている場合に充分にpHを低下させることができず、酸処理の効果が得られないものがあった。この問題を解決するために検討を行った結果、0.2M酸性りん酸緩衡液(pH2.2)を用いて酸処理を行うと、試料水のpHを2.2〜2.5の低いpHを保つことが可能であった。また、目的外の細菌類の影響を3.1%〜1.2%まで減少することができた。従って、様々な水質の環境水からレジオネラを検出する際の酸処理用緩衡液として、酸性りん酸緩衡液を使用することは大変有効である。