Legionella Bozemaniiによる胸水を初発症状としたレジオネラ症

今回、聖マリアンナ医科大学では、レジオネラ・ボゼマニによる胸水を初発症状としたレジオネラ症を経験したので報告している。症例は、75歳男性。平成13年1月1日にスティーブンスジョンソン症候群の疑いで聖マリアンナ医科大学皮膚科に入院。入院10日目の胸部単純写真、CT上左胸水を認め、胸水検査にてレジオネラ属が培養され、 Legionella Bozamanii特異間接蛍光抗体法にて陽性となった。その後、アジスロマイシン、リファンピシン、ミノサイクリンなどにて治療を行い一時的に小康状態を得たが、最終的に表皮ブドウ球菌性敗血症を併発し死亡した。分離されたLegionella Bozamaniiに対する抗菌薬感受性は、エリスロマイシン;0.25ug/mL、アジスロマイシン;0.25ug/mL、ミノサイクリン;4ug/mL、リファンピシン;0.002ug/mL未満であった。レジオネラ症では、胸水を初発症状とすることは比較的まれであり、特にLegionella Bozamaniiによる胸水初発のレジオネラ症は現在まで報告されておらず貴重な症例であると報告している

大葉性肺炎の起炎菌決定における尿中抗原測定の有用性

肺炎の起炎菌決定の材料として喀痰が用いられるが、培養同定に数日を要し、喀痰喀出不能例ではその決定が困難である。今回、市中感染の大葉性肺炎における尿中抗原測定の有用性について検討した。対象は、平成12〜13年に起こった2つの集団での重症肺炎症例と喀痰喀出困難であった大葉性肺炎の2症例。尿中抗原測定はBinax社のNow LegionellaとNow S.pneumoniaeキットを用いて行った。循環式風呂のある漁船中で2名の重症肺炎が発生し1名死亡、さらに4名が肺炎で入院し、レジオネラ集団感染が疑われた。喀痰培養・PCR・尿中抗原検査ではレジオネラ陰性。が、4例で肺炎球菌尿中抗原陽性であり、船内での肺炎球菌集団感染と診断。後日喀痰より肺炎球菌検出。療育施設内で4名の重病肺炎が同時発生。レジオネラ集団感染が疑われ検査施行したが陰性。肺炎球菌尿中抗原陽性で施設内での肺炎球菌集団感染と診断。後日喀痰より肺炎球菌検出。老健施設入所中の男性が大葉性肺炎を発病。喀痰喀出不能だったが、尿中抗原検査で肺炎球菌性肺炎と診断。紅皮症の69歳男性が大葉性肺炎を発症したが喀痰喀出不能、尿中抗原検査で肺炎球菌性肺炎と診断。治癒から2週間後、同部位に再び大葉性肺炎を発病。肺炎球菌性肺炎の再発としてβ-ラクタム薬で治療されたが肺炎増悪し、尿中抗原検査でレジオネラ肺炎と診断。肺炎の集団発生ではレジオネラに加え肺炎球菌の関与を疑う必要があり、市中感染の大葉性肺炎では肺炎球菌に加えレジオネラの検査も重要である。その迅速な鑑別診断法として、尿中抗原測定が極めて有用であるとしている。

PCR法と尿中抗原検出法によるレジオネラ症の診断

レジオネラ症の確定診断法であるPCR法と尿中抗原検出法との比較は、ヒトの臨床検体を用いて検討した報告は少ない、琉球大学医学部第1内科では今回、レジオネラ症患者検体を用いて、PCR法と尿中抗原検出法との比較をおこなった。琉球大学医学部第1内科教室に送付されてきた臨床検体のなかから、レジオネラが気道材料から培養で検出された患者4名の血液、尿、喀痰など計51検体を選び今回の検討に用いた。検体0.5-1mLからlysozyme、proteinase k処理、phenol-chroloform抽出法でDNAを抽出し、プライマーは、Koideらの5SrDNAを検出する5Sプライマーを主として用いている。血液1検体、尿2検体、喀痰など(培養でレジオネラが検出された検体は除く)4検体がPCR陽性であった。今回の検討ではBINAXあるいはBIOTESTキットを用いた尿中抗原検出法の方が陽性検体数が多かったが、尿あるいは血液を用いたPCR法は欧米の報告のとおり。感度もよく有望なレジオネラ症診断法になると思われたとしている。

肺炎球菌およびレジオネラ尿中抗原迅速検出キットの有用性の検討

市中肺炎の診療における肺炎球菌およびレジオネラの尿中抗原迅速診断キットの有用性について検討。2000年5月から2001年4月までの1年間に、当科に入院した全ての市中肺炎症例67例(17〜100歳、平均61歳、男性57例、女性10例)を対象に、喀痰等のグラム染色、レジオネラを含む喀痰培養、血液培養、および必要に応じて抗体検査を施行し、肺炎の気炎病原体について検討。同時に尿中抗原迅速検出キットNow Streptococcus PneumoniaeTMおよびNow Legionella PneumoniaeTM(Binax Inc.USA,および、アラスカ純薬、東京)を用いて、肺炎球菌およびレジオネラの抗原を検索した。肺炎球菌の尿中抗原は、検討した全症例の19%、喀痰や血液から肺炎球菌が分離された症例の54%にあたる13例において陽性であった。一方尿中抗原陽性例においては、喀痰が得られなかったなどの2例を除く全例で、喀痰や血液から肺炎球菌が分離された。重症の肺炎球菌肺炎では、尿中抗原陽性率が高い傾向があり、血液培養で肺炎球菌が分離された3例は全例尿中抗原陽性であった。一方、レジオネラ肺炎と診断された症例はなく、培養や尿中抗原が陽性となった症例はみられなかった。肺炎球菌肺炎は菌血症を伴う例が多く、しばしば重篤な経過をたどる重症例においては肺炎球菌の尿中抗原の陽性率が高く、初期治療における適切な抗菌薬の選択に極めて有用と思われた。レジオネラ尿中抗原の有用性については評価出来なかったと報告している。

尿中可溶抗原による肺炎の診断-レジオネラ・肺炎球菌を中心に-

肺炎は今日においてももっとも重要な感染症の1つである。迅速な判断および適切な抗菌薬療法がその対応において重要であるが最近では、市中肺炎の原因としてレジオネラや肺炎クラミジアといった異型病原体の重要性が指摘され、診断法が複雑化した状況にある。特に肺炎球菌・レジオネラ肺炎は死亡率が高い感染症の代表であり、また選択される抗菌薬が異なることからも迅速診断が重要である。これらの診断法としては培養法がgold standardだが、特にレジオネラにおいては特殊培地を用いた培養が必要であり、その陽性率は決して満足できるものではない。一般的に、市中肺炎全体における起炎病原体の決定率は40〜60%という現状の中で、レジオネラおよび肺炎球菌感染症患者を対象に、患者尿から病原体抗原を特異的かつ迅速に検出できるキットが開発され利用可能となっている。今回のシンポジウムでは「尿中可溶抗原による肺炎の診断」をテーマに、レジオネラおよび肺炎球菌性肺炎の診断キットの特徴・有用性について発表している。東邦大学医学部微生物学教室は厚生省レジオネラ感染症研究班の1施設として1992年から本症の診断を開始し、本菌肺炎疑いで送付された検体を対象に約9年間で170症例のレジオネラ肺炎を診断している。今回、これら症例を対象にレジオネラ肺炎診断における尿中抗原検出キットの有用性について解析を加えている。尿中抗原の検出はBinaxおよびBiotest社のキットを用い検討し、各種検査法における陽性/検査症例数(%)は、培養法で28/104症例(26.9)、血清抗体価測定で64/162症例(39.5)、PCR法で61/100症例(61.0)、尿中抗原検出で94/154症例(61.0)であった。特に培養陽性となったL.pneumophila血清型1感染症においては16/19症例(84.2)が尿中抗原陽性であった。Binax及びBiotestの両方の検査が実施できた149症例でみると、両方陽性が61症例、Binaxのみ陽性が19症例、biotestのみ陽性が13症例であった。さらにL.pneumophila血清型1以外の感染症における尿中抗原の陽性頻度は6/23症例(26.1)と低いことから、本キットは基本的に血清型1感染症に対して有用な検査法であると考えられたとしている。肺炎球菌感染症における尿中抗原検出キットがBinax社より開発されていおり、市中肺炎57例における検討では、19症例で肺炎球菌尿中抗原が陽性となっている。このうち喀痰培養陽性であった6例中3例が尿中抗原陽性となっている。現在さらに症例を蓄積、まとめて報告する予定であるとのこと。

安心して温泉を楽しむために〜レジオネラの話〜

レジオネラ症感染は世界的には冷却塔を感染源とするものが多いが、日本では、循環ろ過式の入浴施設、いわゆる24時間風呂を感染源にするものが多く、問題意識が高まってきている。入浴者数にくらべ、湧き出るお湯の量が少なく、お湯を循環ろ過して使っていることに原因がある。循環ろ過式風呂でレジオネラ症感染が起こる主な理由は、細菌を繁殖させて垢を分解してきれいにするろ過システムを用いている生物槽で、細菌の繁殖とともにそれを補食する原虫が増え、その原虫に寄生して増殖するレジオネラ属菌が増えることにある。
気泡風呂やジャグジ-などエアロゾルが発生する設備を使用している施設が多い。本来、温泉は湧き出るお湯に浸かり、溢れるお湯は捨てるものである。本来の姿に戻るか、あるいは塩素剤をたっぷりと使用して使い続けるか、答えはおのずから決まっている。

レジオネラのために水を検査するべきか?

この長期検討されてきた問題は、Matt Freijeの「水を試すと言うこと〜レジオネラ属菌検査をするか決定するときに考えるべきこと〜」に概説されている。この論文はアメリカの病院関連会社であるヘルスフォーラム社が出版している「健康設備管理2002年10月号」に記載されている。この記事は以下のページでも見ることができる。http://www.hospitalconnect.com/hfmmagazine/jsp/articledisplay.jsp?dcrpath=AHA/NewsStory_Article/data/0210HFM_Codes&domain=HFMMAGAZINE.