Legionella属菌に対する塩素の殺菌効果

既報の温泉浴槽17ヶ所の他に、39ヶ所の浴槽水からレジオネラ属菌が検出され、そのうち5ヶ所の菌数が104CFUと105CFU/100ml台に達していることがその後の調査で判明した。このことから、浴槽水中のレジオネラ除菌対策を立てるための基礎実験として、レジオネラ属菌を殺菌するのに有効な塩素濃度と接触時間を知る目的で、レジオネラ属22菌種の基準株、本邦患者由来の4菌種35株、及び温泉浴槽水由来の4菌種45株の計102株に対する殺菌試験を行った。その結果、各菌株を105CFU/100mlになるよう遊離塩素濃度0.4mg/lに相当する次亜塩素酸ナトリウム液に懸濁すると15分以内に生菌が検出されなくなることが判明した。

浴場施設におけるレジオネラ症感染とその対策

これまでに発生したレジオネラ症集団感染・死亡事故の要因を述べ、浴槽循環ろ過設備のレジオネラ対策について国が策定した感染予防対策をもとに解説する。

入浴施設におけるレジオネラ症感染事例とその要因いずれの施設も浴槽水の消毒が適切に行われていない/ろ過装置の逆洗・洗浄が不十分/エアロゾルの発生/オーバーフローによる汚れの除去が不十分など、管理上並びに設備上の欠陥が要因として指摘されている。

レジオネラ属菌対策に関する技術上の指針(告示)入浴施設でのレジオネラ症集団感染・死亡事故が各地で発生して、厚生労働省では平成15年7月25日に告示「レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針」を定めて公布した。告示内容は、以下の点を目的とした技術上の指針で、浴槽循環ろ過設備の全ての部位をレジオネラ属菌が繁殖することのないように維持することを基本としている。・微生物の繁殖および生物膜などの生成の抑制・設備内に定着する生物膜などの除去・エアロゾル(微細な水粒)飛散の抑制。

レジオネラ属菌対策とその影響浴槽施設におけるレジオネラ属菌対策は施設の運用に大きな影響を及ぼすものとなった。以下にその影響と運用上の問題点について述べる。・使用量の増大:過マンガン酸カリウム消費量(汚れの指標)を基準値(25mg/L以下)に維持するには、浴槽から湯をオーバーフローさせて汚れを排除するとともに補給水によって汚れの割合を薄めることが必要である。そのため、ランニングコストの増大は免れない。・貯湯槽の高温消毒:レジオネラ属菌は60℃の温水では5分程度で死滅することから貯湯槽内の湯を60℃以上に保つことが義務づけられている。しかし、わが国の温泉は源泉温度60℃未満のものが多く、貯湯槽に加熱装置を設けるには多額の費用が増える。・ろ過装置の逆洗・消毒:ろ過装置は1週間に1回以上逆洗して消毒するとしているが、地域によっては水道スによる逆洗や高濃度塩素による消毒を求めているところもある。水道水による逆洗を行うには過剰な設備が要求され、また水道料金も過大となる。

給湯水におけるレジオネラ汚染とその対策

瞬間式20試料、貯湯式20試料、循環式40試料の給湯水についてレジオネラ菌の検出を試みた結果、瞬間式を除き、貯湯式2試料、循環式5試料の給湯水からLegionella pneumophilaが検出され、給湯水がレジオネラ症の感染源となる可能性が示唆された。レジオネラが検出された給湯水の湯温は41〜55℃と比較的低かった。経時的な調査結果から、一旦給湯系に定着したレジオネラは長期間にわたり生残、増殖しており、102〜103CFU/500mlの菌数で消長していることが明らかになった。こうしたレジオネラを除去するには、貯湯槽の清掃のみならず、加熱処理の併用が効果的であった。レジオネラ汚染の予防対策としては、末端での給湯温度を55℃以上に保持することが望ましいと考えられる。

水景施設のレジオネラ属菌の防止

平成13年度厚生科学研究費補助金「室内空気中の微生物防止対策に関する研究」報告書の中の”水景施設における微生物に関する研究”から、水景施設のレジオネラ属菌の防止対策についてのべる。横浜と大阪の水景施設82施設についての調査結果では、15施設(18.3%)からレジオネラ属菌が検出された。また、各施設の殺菌方法や清掃頻度などとの関連も調査した。その結果、以下のような維持管理方法が提言されている。水景施設におけるレジオネラ属菌の汚染防止対策としては、・清掃頻度を多くする・ろ過装置の殺菌や配管の洗浄を行う・利用形態を考慮し、塩素などの殺菌装置を設ける・必要に応じてレジオネラ属菌検査を行う

冷却塔水から分離したLegionella spp.に関する検討

1988〜1989年に、本学屋上に設置された冷却塔を対象に、レジオネラ属菌の検出を行なった結果、5基中4基から本菌が検出され、そのうち2基は2年間継続して検出された。また同時に、本菌の発育に及ぼす原虫及び有機物の影響、及び冷却塔水中の金属の影響について検討した結果、アメーバの存在は必ずしも重要でないと考えられた。マグネシウム、ナトリウムは、レジオネラの発育を促進し、亜鉛は抑制していると考えられた。

レジオネラ症発生の予防を目的とした冷却塔水中のLegionella属菌の生態調査とその防除法の研究

わが国の本州各地の冷却塔水102検体について、Legionella属菌の検出を行った結果、64.7%の検水からLegionella pneumophilaが検出された。冷却塔水中の本菌数と一般細菌数、pHとの間に相関は認められず、また本菌数の季節的な変動は確認できなかった。モデル実験結果から、冷却塔の洗浄には3%過酸化水素水または2%グルタールアルデヒド溶液の使用が有効であり、その後、菌の増殖を抑制するために有機ブロム剤を使用するのが効果的であった。紫外線殺菌装置を設置したモデル実験では、試験管内実験結果に反してL.pneumophilaを完全に抑制することはできなかった。これは、当装置は冷却塔の循環水のバイパスに設置・使用するため、冷却水全体の完全な殺菌が難しいためと思われる。

抗レジオネラ用空調水処理剤に用いられる有機系殺菌剤のレジオネラ属菌に対する殺菌性能

殺菌剤原料について、一定の試験方に基づき、精度を確保してレジオネラ属菌に対する殺菌性能を調査した。使用者が客観的に抗レジオネラ薬品の評価、選択を行えるようにすることを目的として、各種殺菌剤がLegionella pneumophilaを99.9%殺菌するのに要する、濃度別の時間とCT値を得た。

クーリングタワー冷却水中でのレジオネラの分布およびレジオネラに及ぼすクーリングタワー添加剤の影響

レジオネラはクーリングタワー冷却水の約6割から分離され、そのほとんどはLegionella pneumophilaであった。クーリングタワー添加剤は種類によりレジオネラに対する殺菌効果が異なる。一般に殺菌剤を含む添加剤の場合、その殺菌効果は認められるが、その他の水処理剤の場合は効果は低い。実験室的に調べたレジオネラに対する添加剤の殺菌効果は温度の高い時に大きくなる。生理食塩水中でもレジオネラは温度の高い時の方が死滅しやすい。すなわち、有機物濃度の低い時クーリングタワー冷却水の温度管理を高くすれば、レジオネラ菌濃度を低く抑えることが可能とみられる。

Legionella pneumophilaに対するハーブの殺菌作用

ハーブを用いて殺菌効果を検討した結果、ペパーミント、セイジ、ラズベリーリーフ、レモンバームの4種類では、Legionellapneumophila 28株に対してすべて阻止円の形成が見られた。ハーブにはLegionella pneumophilaに対して速効性はないもののコーヒーと同様、殺菌作用があることが判明した。

冷却塔水のレジオネラ属菌分離頻度と薬剤処理効果

”昭和63年6月から9月までの13週間、当院10基の冷却塔のうちの3基にそれぞれ2-bromo-2-nitropane-1、3dial(A社薬剤)を30ppm、2、4-dibromo-5、5-dimethylhydantoin(B社薬剤)を100ppm、銀イオン処理剤(C社薬剤)を600ppm、水交換後に投入し、無処理で稼動した残り7基と比較した結果、レジオネラ属菌検出率は、無処理で82%、薬剤処理で50%であった。本菌はA社薬剤ではほぼ抑制され、B社薬剤では出現と消失を繰り返し、C社薬剤では抑制されなかった。またどの薬剤も原生動物、一般細菌に対してほとんど効果がなかった。”