銅管のLegionella pneumophilaに対する抗菌効果

目的
人工生活環境水系からの感染予防に資する銅管の活用法を探るべく、銅管を含めた各種配管におけるL.pneumophila殺菌効果を比較検討した。

方法
銅管、硬質塩ビ管、塩ビライニング管、ステンレス管、ポリエステル管、架橋ポリエチレン管、ポリデテン管の7種類に菌液を接種し、24時間後の生菌数を定量した。

結果と考察
銅管における生菌数が反応5時間目には-log5.5そして24時間目には検出限界以下にまで有意に減少した。しかし、銅以外の素材の配管ではそのような効果は全く認められなかった。これらの成績は銅管のもつ優れた抗菌性を示すものであり、その利用のひとつとして人工生活環境水系におけるLegionella属菌の汚染防止対策への活用があると考えられる。

水系汚染Legionella属菌に対する感染防止対策法の確立第2報循環式浴槽における殺菌セラミックスの応用

目的
従来のろ材に代わる抗菌性を有する新セラミックを開発した。そこで循環式浴槽におけるLegionella属菌に対する殺菌効果を検討した。

対象施設
一般家庭の24時間風呂および公共温泉施設(アルカリ泉)・設置:殺菌セラミックは循環装置のろ過装置内にろ材と一緒に敷設した。

結果と方法
家庭用24時間風呂において、浴槽水とL.pneumophila SG1を用いたバッチ試験で殺菌セラミック20g/100mLで1日後に殺菌効果が得られた。また、温泉施設ではLegionella属菌に対して使用2日目で殺菌効果が得られ、その効果は20日以上持続した。これまでの野外検証の結果、当該セラミックが循環式浴槽水を汚染するLegionella属菌に対する有効な殺菌対策法になりうることが明らかになった。

病院給湯設備におけるレジオネラ汚染とその除菌

産業医科大学病院において2003年7月に病棟の特別浴槽シャワーヘッドよりLegionella pneumophilaが検出され、追加調査で貯湯槽からもL.pneumophilaが検出された。中央循環式の給湯設備であることより設備全体の汚染があると判断し、1年間にわたり汚染調査と除菌作業を繰り返した。期間中に検出された分離株は3つの遺伝子型にしか分類できなかったことから、汚染が給湯水の循環により施設全体に広がっていたことが示唆された。除菌対策として(1)1年に1度、給湯水を末端給湯栓類で放水(2)貯湯槽の清掃(3)給湯水温を66℃にて維持することを実施した。その結果、汚染は検出限界以下に除去できた。また、この期間中にレジオネラ肺炎の院内発生は認められず、水道料金や灯油料金の負担が増えることもなかった。給湯水の昇温循環運転と末端給湯栓類からの放水作業は安価で有効な除菌法であった。

水系汚染Leionella属菌に対する感染防止対策法の確立ー循環式浴槽への殺菌セラミックの応用ー

目的
独自に開発した新規殺菌セラミックが温泉入浴施設および24時間循環風呂におけるLegionella属菌の防除対策に応用できるかを検討した。

方法
24時間風呂を使用して各種温泉水における殺菌セラミックのL.pneumophilaに対する殺菌効果を検討した。

結果と考察
24時間処理後に生菌数が1%以下に減少した泉質は、わが国の温泉水の9割を占めている硫黄泉、炭酸水素塩泉、単純泉そして塩化物泉であった。このことは殺菌セラミックがほとんどの泉質の温泉入浴施設におけるLegionella属菌の防除対策に応用できることを示している。また、アルカリ性単純泉においては防除効果が3週間をこえて持続するなどの成績をおさめた。

病院給湯設備のレジオネラ汚染とその除菌

目的
2003年7月に病棟の特別浴槽シャワーヘッドよりLegionella pneumophilaが検出され、設備全体の汚染があると判断したため、1年間にわたり汚染調査と除菌作業を繰り返し、除菌できたので報告する。

方法
シャワーヘッド拭き取り試料と給水・給湯試料の培養検査を行った。迅速な除菌対策のためにPCR法も併用した。

結果と考察
この調査・対策期間中に合計52箇所でのび119回の培養検査をおこない、15箇所のべ18検体から汚染が検出された。これらの分離株は3つの遺伝子型にしか分類で稀図、汚染が給湯水の循環により施設全体に広がっていたことが示唆された。除菌対策として、(1)給湯水を75℃で24時間循環させながら末端給湯栓類で放水を行う(2)貯湯槽の清掃(3)給湯水温を66℃に上げて維持管理することを実施した。その結果、汚染は検出限界以下に除菌された。

水系汚染Legionella属菌に対する感染防止対策法の確率ーセラミック触媒の殺菌作用に関する評価ー

水系汚染Legionella属菌に対するセラミック触媒の殺菌効果を各種温度(25℃および42℃)条件下にて検討した。PBSに浸漬したセラミック触媒はいずれの条件下においてもLegionella pneumophila ATCC標準株(血清型IおよびII型)に対して顕著な殺菌効果を示した。以上の実験から、セラミック触媒はLegionella属菌に対して優れた殺菌効果を発揮し、その殺菌作用は8種類の元素イオンの相乗的作用によってもたらされることが示唆された。また、このセラミック触媒による殺菌効果は冷却塔や温泉水においても同様に作用することが確認され、人工的環境水を汚染するLegionella属菌に対する有効な感染防止対策法のひとつになり得ることが明らかにされた。

冷却水におけるレジオネラ汚染の状況と対策

現在、オフィスや病院、半導体・医薬などの工場では空調システムは不可欠であり、規模の大きい冷暖房設備が稼動し、その数も年々増加している。これら建築設備では熱源が多いため、冷房の負荷が大きく、冷房用冷却水におけるレジオネラ症感染としてのリスクが高くなっている。わが国では現在、レジオネラ症の集団発生が数多く報告されてはいないものの、各種水系について感染のリスクに応じた適切なレジオネラ属菌は抑制対策を実施することが望ましい。本稿では、(1)薬剤による化学的殺菌洗浄(2)殺菌剤の継続的添加による処理(3)物理的殺菌処理(紫外線殺菌法)について解説している。

冷却塔・冷却水系のレジオネラ属菌対策

日本におけるレジオネラ症の集団発生は、浴槽水を原因とするものが多い特長がある。これに対して諸外国では、給水や、給湯水、冷却水を感染源とする集団発生が多く報告されている。わが国においては、現在のところ冷却水を感染源とする集団発生の報告は少ないが、諸外国の例を教訓としつつ、冷却水系のレジオネラ属菌抑制対策を講じる必要がある。

冷却水におけるレジオネラ属菌の実態

検査
冷却水など環境水中のレジオネラ属菌を検出するには、菌数が得られる選択培地を用いた培養法が主に行われており、検査のための試料水200〜400mLを採取後直ちに検査期間に持ち込む。培養法以外のレジオネラ属菌検査法では遺伝子を利用したPCR法や抗原抗体法があるが、感度や選択性において充分とはいえず、その特長をよく理解した上で検査結果を判断する必要がある。

冷却水中の菌数
日本全国の水処理用の殺菌剤が添加されていない冷却水について1987〜92年にかけて調査したところ、約6割の冷却塔水にレジオネラ属菌が生息していることが分かった。また、月別の集計では多数の冷却塔が稼働する夏期6〜9月の検出率が高い。

増殖要因
レジオネラ属菌の増殖要因には、水温、バイオフィルム、水質がある。水温は25〜40℃で尤も早く増殖する。また、バイオフィルムはレジオネラ属菌の宿主となるアメーバなどの原生動物や細菌類の集まりであり、レジオネラ属菌の増殖源となる。レジオネラ属菌は幅広い水質環境で増殖することができる。pHは5〜10、塩類濃度1%程度まで増殖可能である。このように、冷却水は大気中の物質の取込み、酸素の飽和、藻類の増殖、塩類の濃縮などの要因によりレジオネラ属菌をはじめとする微生物類が増殖しやすい環境にある。

冷却水系のレジオネラ属菌抑制対策冷却水系のレジオネラ属菌の抑制対策には、バイオフィルム除去の過程と、水処理剤による継続的な除菌処理の過程がある。バイオフィルム除去には、手作業による清掃と薬剤による化学洗浄があり、引き続いて実施する継続的な水処理剤処理の効果を確実にするためにも重要である。・手作業による清掃:設備の保守管理上重要であり、冷却塔周りのバイオフィルムを除去できるが、冷却水系の配管や設備機器内部のバイオフィルム除去はできないため、レジオネラ属菌の除菌効果は限定的である。

薬剤による化学洗浄
冷却水中の浮遊性菌と同時に冷却水系配管・設備機器内面のバイオフィルムの除菌(除去)もするためには、過酸化水素、次亜塩素酸、有機物系殺菌剤などを高濃度で添加し、冷却水系を2〜3時間循環させる。常時冷却水中のレジオネラ属菌を抑制するには、化学洗浄に加えて、冷却塔の運転期間中は水処理剤(殺菌剤)を継続的に添加する必要がある。また、水処理剤の継続添加だけでは十分な効果が得られない場合には化学洗浄が必要である。

クーリングタワー冷却水に対する電解殺菌の有効性の検討

クーリングタワー冷却水に対する電解殺菌の有効性について検討を行った。実験室内での基礎的検討では黄色ブドウ球菌、大腸菌、セラチア、緑膿菌、レジオネラ等の細菌、およびファージに対し強い殺菌効果が認められた。しかし枯草菌類の胞子に対しての効果は低かった。次に応用実験としてクーリングタワー冷却水に対しての電解殺菌試験を行った。その効果は一般細菌やレジオネラ属細菌の増殖を著しく制御した。これらの結果から、電解殺菌は消毒剤に変わる殺菌方法としてクーリングタワー冷却水中のレジオネラ汚染防止、および病原細菌の増殖制御に有効であると考えられる。

24時間風呂浴槽水のレジオネラ属菌増殖防止対策

当協議会の24時間風呂浴槽水の衛生対策の概要を記述する。

24時間風呂

常時「循環」+「保温」+「浄化(殺菌装置はシステム内に常設)」の基本機能を具備

循環風呂

「循環+浄化(殺菌装置はシステム内常設)」と定義し、保温する熱源を持たない24時間風呂をより安全に、浴槽水の衛生環境を継続して維持するために、レジオネラ属菌の性質を考慮し、各種基準・規定を制定して対応している。主な概要は以下の通りである。

浴槽水の衛生環境を保持するための維持管理基準の概要

・浴槽水の水質基準の決定と表示

・適切な殺菌装置をシステムの中に常設する

・水質検査結果の把握と対応

・浴槽水の換水時期は、原則として30日以内とする

・ろ過装置および配管類などの洗浄・消毒

・試運転・遊休設備再利用時の注意喚起の徹底

・浴槽水の衛生環境保持のためのお手入れ内容の周知徹底

・消費者・販売店・ユーザー管理の充実

家庭用24時間風呂の利用形態は各家庭で異なっているため、殺菌装置を採用するに当たっての留意点は、

・殺菌性能・使用環境・対象物への影響

・毒性・安全性・法規制などである。

これらのポイントが管理され、消毒メカニズムが長期に安定的に作動することを実際の使用条件下で確認・実証(モニタ)する必要がある。