循環式入浴施設における本邦最大のレジオネラ症集団感染事例 II 診断検査法の比較

目的
2002年7月宮崎県の循環式入浴施設においてレジオネラ症集団感染事例が発生した。295名の発症者のうち、95名に対し細菌学的検査を実施し、診断検査方の比較を行った。

方法
1.喀痰からのレジオネラ属菌の分離
2.尿中抗原の検査(EIA、イムノクロマト法)
3.血清抗体価測定(マイクロプレート凝集法、間接蛍光抗体法)

結果
1では24名中3名が、2では75名中23名が、3では66名中5名が陽性と診断された。以上のことから、PCRや尿中抗原検出は、培養や血清抗体価測定よりも陽性率が高く、検査法として有用であった。しかし、培養法は感染源特定のために公衆衛生重要である。

ナノ微粒子強磁性フェライトのナノフィルターとレジオネラ及び水カビ菌へ及ぼす除菌効果

目的
レジオネラ菌の除去法として、次亜塩素酸ナトリウムを用いることは、肌への刺激や臭気から、これに代わる方法が求められている。そこで、ナノ微粒子強磁性フェライトのナノフィルターによる防除を検討した。方法
髪の毛などをろ過する装置のあとに円筒状の装置を取り付け、レジオネラの防除効果を測定した。(フィルター装着前、2日後、5日後の菌数を測定)結果
フィルター未装着、2日後5日後において、それぞれ100mlあたり36000、7000、530と減少した。レジオネラがフィルターを通過する際にうづ電流が発生し、これにより殺菌されると考えられる。

Legionella pneumophila およびAmoebaに対する銀殺菌効果の検討

目的
銀は残留性がありpHの影響を受けにくいことから、温泉における殺菌剤として有効と考えられるが、まだまだ検討が充分ではない。そこで、Legionella pneumophila及び、Amoebaに対する銀殺菌効果の検討と、循環式温泉施設への導入を行った。

方法
1.温泉水にL.pneumophilaを添加後Ag+濃度を調整し、一定時間毎に上澄みをBCYEαで培養
2. Acanthamoeba castellaniiATCC30234L.pneumophilaを貪食させ、シスト化し銀を作用後、Amoebaを破壊した上澄みをBCYEαで培養
3.温泉水を滅菌ろ過後、ろ過膜表層を拭いとって滅菌水に懸濁し、0.2M KCl・HCl bufferを加えBCYEαで培養

結果
1. 24時間で完全に殺菌された。
2. Amoebaの生存にはほとんど影響がなかった
3.実際に温泉施設に銀装置を設置した結果、当初は検出、その後の実験では検出されなかった。L.pneumophilaが検出されるかどうかは温泉水中の銀濃度に依存する形となった。

給湯設備内から検出された:Legionella属菌の遺伝子解析

目的
給湯設備内から検出したLegionella属菌種の同定を行うために、PCR産物の塩基配列を決定し、解析を行った。

方法
PCR法によりLegionella属菌16SrRNAの一部分を増幅し、電気泳動で増幅産物を確認。それをゲルより切り出し、direct sequencingにより塩基配列を決定し解析した。結果
給湯水中に多数のLegionella属菌が存在することが確認された。Legionella属菌が検出された場合には、設備全体の汚染の可能性があり、適切な維持管理が必要である。

レジオネラ属菌における発育能力の検討

目的
レジオネラ属菌は実験によって、菌株による発育能力の差がある可能性が示唆されている。そこで各種レジオネラ属菌を用い、血清型及び菌種による差異を検討した。

方法
Legionella pneumophilaの血清1〜6群、:L.bozemanii、L.dumoffii、L.micdadei、L.gormanii等14種20件濁度を測定しながら同じ濃度に調整した菌液を培養した後、発育したコロニーをカウント。濁度とコロニー数を比較した。

結果
レジオネラ属菌の発育能力には、種類によって顕著な差が見られた。今後は培養条件の影響を検討する。

レジオネラ研究に関するフローサイトメトリー有効活用の検討

目的
寒天培地によるコロニー計数法では、菌濃度が当初の目標範囲を超えていた場合、実験結果が得られないという欠点がある。そのため、実験開始時に正確な菌濃度を知る方法が必要である。

方法
フローサイトメトリー法を原理とする迅速微生物計数結果
レジオネラ、及びアメーバの計数について検討し、その可能性を見出だした。

循環式浴槽におけるレジオネラ属菌除菌技術の評価研究

目的
循環式浴槽において、ろ過器が生物浄化状態でレジオネラ属菌の定着条件を想定し、各種除菌技術を適用した場合の浴槽水中のレジオネラ属菌の動向を調査、各処理方式のレジオネラ属菌対策としての有効性を評価する。

方法
1.循環式浴槽に微生物汚染を受けたろ過器のろ材を少量添加し、水を循環させ、レジオネラ属菌、アメーバ類、各種細菌類の定着挙動を調査した。
2.定着確認後、①塩素処理②紫外線処理③MF(精密ろ過)処理を実施、処理前後のレジオネラ属菌等の挙動を確認した。
3.複数材質種の板・配管を浴槽内に浸透し、各種細菌の挙動を調査した。

結果
1.循環開始後の浴槽水中、レジオネラ属菌の増加はアメーバ類の増加に追従。また従属栄養細菌、一般細菌の増加も確認した。
2.各種処理後の結果は①塩素処理はアメーバ類を効果的に抑制②紫外線処理は直後でのレジオネラ属菌を抑制したが、徐々に増加。紫外線処理出口以降の配管、浴槽の汚染によるものと判断する③MF処理は初期はレジオネラ属菌を90%以上除菌するものの、短時間で膜の閉塞を生じた。
3.各種材質への細菌類付着は銅が最も少なく、鉄が最も多かった。銅は抗菌作用が高く、また鉄は腐食生成物を嵩高く生じ、バイオフィルムが多く定着したものと考えられる。

LAMP法を用いた浴槽水のレジオネラ迅速検査しついて

目的
レジオネラの感染拡大を防ぐためには、迅速な検出方法を確立しなければならない。そこで、PCR法以外の遺伝子増幅法であるLAMP法により、浴槽水のレジオネラ属菌の迅速検査を行い、培養法との比較検討を行った。

方法
浴槽水を採取し、冷却遠心濃縮法により100倍濃縮をおこなった。検出試薬キットを用い、リアルタイム濁度測定装置により本菌遺伝子の検出をおこなった。培養法では濃縮液の一部を50℃20分加熱後、WYOα培地で1週間培養後、同定を行った。

結果
LAMP法・培養法ともに陽性が14.5%、陰性が60.5%であった。LAMP法陽性・培養法陰性は18.4%で、これは死菌やVNCであると考えられる。LAMP法は簡易かつ迅速にレジオネラ属菌の汚染状況を把握できる、有効な方法であると考えられる。

浴水中のLegionella属菌の定量リアルタイムPCR迅速検出について

目的
浴水中のLegionella属菌のを迅速に検出するため、Molecular beacon(MB)による定量リアルタイムPCR(qPCR)法を検討した。

方法
MBは16rRNAgeneをターゲットとした。浴場水は培養法で使用したものをさらに5倍濃縮し、DNAを抽出した。

結果
MB- qPCRは定量法に優れ、検出感度は菌液に換算して102CFU/mL前後であり、培養法に比べ2オーダー程度高めであった。培養法でLegionella属菌が不検出であった試料のうちMB- qPCR法で陽性のものもあり、結果は一致しなかった。

レポーター・キャプチャープローブを用いたLegionella属菌のバイオキャタリティックDNAセンサの構築

目的
Legionella属菌の迅速かつ簡便な検出方法の確立が求められている。Legionellaが保有するmipまたはLfur領域をTargetDNAとし、電気化学的検出を目的としたDNAセンサの構築を試みた。プローブに耐熱性酵素を用い、操作の簡便なDNAセンサの構築をおこなった。

方法
交互積層法によりメディエータを修飾し、最外層にアビジンを固定化したカーボン印刷電極を調整した。また、TargetDNA、5、3末端プローブをサンドイッチハイブリダゼーションさせ電極上に固定化した。

結果
電極を溶液に浸漬し、一定の印加電圧を与えながら酵素反応の基質を添加すると、酵素反応に基づく電流の増大が確認された。一定量の基質存在下では、電流応答はTargetDNA量に依存し、pmolオーダーでの検出が可能であった。