PCRを用いた環境水中におけるレジオネラ属菌の高感度検出

目的
PCRを用いて、環境水中のレジオネラ属菌を迅速かつ高感度に検出、定量できる検査法を確立するために、新たなPCRプライマーを設計し、実際に環境水サンプルからのレジオネラ属菌の検出を試みた。

方法
PCRプライマーはL.pneumophila血清群1のI6S-23S rRNA ingergenic regionの配列を基に設計された。また、浴槽水は冷却遠心後の100倍濃縮液をサンプルとした。

結果
今回設計したプライマーは、L.pneumophilaの各血清群だけでなく、L.bozemaniiL.micdadeiなど他菌種も含めたレジオネラ属菌を特異的に検出できた。また、このプライマーを用いて環境水中のレジオネラ属菌の検出を試みたところ、目的の増幅産物が特異的に検出され、この増幅産物がレジオネラであることはシーケンスでも確認された。考察:以上のことから、環境水サンプルにおいてもレジオネラ属菌を特異的に検出できることが確かめられた。現在、リアルタイムPCRを用いたレジオネラ属菌の定量も行っており、この件についても報告する予定である。会員外研究者:静岡県環境衛生科学研究所大畑克彦、鈴木光彰

家庭用24時間風呂が感染源と考えられるレジオネラ肺炎の1成人例

家庭用24時間風呂のレジオネラ汚染の危険性はよく知られているが、これを感染源とする成人レジオネラ肺炎が確認されたことは極めて重要と考え、報告する。症例:88歳、女性、身長143cm、体重40kg、家庭用24時間風呂には、1日2〜3回の入浴習慣症状:呼吸困難感、嘔気および嘔吐、意識障害、低酸素血症、全肺野に湿性ラ音を聴取、胸部CTでは両側上中肺野に中心性に拡がる浸潤影とともに両側の胸水を認めた。経過: RAに合併した急性呼吸窮迫症候群と診断し、さらに家庭用24時間風呂の習慣からレジオネラ肺炎を疑った。人工呼吸管理・陽圧呼吸下に、ステロイドパルス療法を施行するとともに、エリスロマイシン1500mg/日の点滴静注を行ったところ、改善した。レジオネラ属菌に関しては、BCYE培地による喀痰培養でLegionella pneumophila(SG 6)が検出され、患者宅の浴槽水からもLegionella pneumophila(SG 6)が検出された。両菌は同一起源と判定された。

水系汚染Legionella属菌に対するセラミック触媒の殺菌効果

目的
レジオネラ属菌は、熱抵抗性、アメーバ内増殖性、バイオフィルム形成という特性を持つことから、従来の殺菌・消毒法では完全に殺菌することは困難である。そこで、新しく開発された殺菌効果を有するセラミック触媒の殺菌効果について検討した。

結果
L.pneumophila ATCC標準株に対しても、環境分離株に対しても同様に顕著な殺菌効果を示した。・セラミック触媒を浸漬させたPBSの上清にも殺菌効果が認められ、その成分といてMg、Al、Ca、Mn、Sr、Ag、Baが検出された。
・各元素を検出されたイオン濃度になるように様々な組み合わせでPBSに添加した場合にも同様の殺菌効果が認められた。

考察
これらの成績から、セラミック触媒はLegionella属菌に対して有効な殺菌効果を発揮し、その殺菌作用は8種類の元素の相乗的効果によってもたらされることが示唆された。

レジオネラ

目的
当院新生児病棟で発生したレジオネラ症に対する処置と、その後の発症阻止について報告する。経過: 1996年1月、当院新生児病棟でレジオネラ症が発生し、新生児病棟の環境培養を水を検体として行った。その結果、温水系の蛇口から50検体中17検体からLegionella serotype 1ないし6が検出された。新生児病棟の水環境からレジオネラ属菌を除く方法として、高温水による除菌を行った。具体的には、加湿器の使用中止、シャワーヘッドの消毒に加え、ミルク加湿器の高温消毒、温水タンクの加湿、蛇口の定期的な熱湯フラッシュなどの実施。

結果
その結果、以後、水検体からのレジオネラ属菌検出件数は減少、消滅し、レジオネラ感染症患者の発生もない。レジオネラ症の発生から7年が経過し、小児科感染対策担当者が2回代替わりした現在も、レジオネラ感染防止策と、定期的なサーベイランス(環境培養)を継続している。