EMA-qPCR法とクローンライブラリーによる環境水中のレジオネラ属菌の多様性解析

目的
培養法による環境水中のレジオネラ属菌の優占種はLegionella pneumophilaとされているが選択培地に発育しにくいレジオネラ属菌の存在についてはよくわかっていない。既報にて、冷却水と浴槽水試料についてEMA-qPCR法と培養法の結果を比較、クローンライブラリー解析によって冷却水のレジオネラ属菌の多様性を示したが、新たに解析した冷却水の結果を追加して報告する。

方法1)
培養法により冷却水6試料、浴槽水3試料からレジオネラ属菌を検出し菌種を同定した。2)EMA-qPCR法で各試料のレジオネラ菌中のL.pneumophilaの存在比率を求めた。3)EMA処理後の試料についてクローンライブラリーを作製しレジオネラ属菌由来の16SrRNA遺伝子を解析した。

結果1)
培養法冷却水—4試料からL.pneumophilaが優占種として検出され、1試料からL. sp.LC2720が検出された。1試料からは検出されなかった。浴槽水—3試料からL.pneumophilaが優占種として検出された。2)EMA-qPCR法冷却水—6試料から165rRNA遺伝子が検出され、4試料からL.pneumophilaのmip遺伝子が検出された。L.pneumophilaの存在比率は0〜13%浴槽水—3試料から165rRNA遺伝子、mip遺伝子が検出された。L.pneumophilaの存在比率は39〜79% 3)L.pneumophilaが検出された試料からクローンが検出され(冷却水0〜11%、浴槽水32〜99%)、その数の割合はEMA-qPCR法のL.pneumophila存在比率と概ね一致した。冷却水から検出されたクローンは系統樹上では殆どが既存種に属さず、浴槽水と比較して多様性が高かった。

考察
環境水中には培養法で検出されないレジオネラ属菌が存在し、特に冷却水には既存種に分類されない生菌が数多く存在することが示唆された。培養法にEMA-qPCR法を組み合わせることにより総合的な分析が期待される。


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