空調設備におけるレジオネラ対策

1.空調設備のレジオネラ対策の重要性
レジオネラ症は夏から秋期に報告数が多くなる傾向がみられる。冬期に比べ冷却塔の稼働台数が増加し、冷却水のレジオネラ属菌検出率も高くなることから夏期増加の要因として空調設備の影響も考えられる。海外では冷却塔由来の集団感染事例も多く、その事例に学び、冷却水のレジオネラ対策を一層重視する必要がある。

2.空調設備でのレジオネラ症の感染経路
冷却水中で増殖したレジオネラ属菌は冷却塔の飛散水と共に外気取入口から空気調和機に取り込まれ、ダクトを通じて建物内に供給され、室内にいる人が感染する。冷却塔はビル屋上に多く設置され、冷却水にレジオネラ属菌が存在する場合、ビル付近の道路に菌が浮遊、道を歩く人が感染する。蓄熱槽水では水の入替え、清掃の際には注意が必要である。

3.各種水系のレジオネラ属菌検出実態
①レジオネラ属菌の検査方法特に冷却水では細菌やカビ類が多く存在する。検出不能判定が出た場合は前処理を強化し、CAT-a培地に変更、再検査する。汚染や管理状態把握のため生菌数を正確に検査が必要。
②各種水系のレジオネラ属菌検出実態全国のビルや医療、温浴施設などから採取した試料で、レジオネラ属菌が10CFU/100ml以上検出された割合は冷却水25.9%、浴槽水14.1%、給湯水5.2%、蓄熱槽水31.9%、水景用水10.6%と蓄熱槽水、冷却水の検出率が高かった。また、冷却水の年別検出率では2001年〜2005年にかけて30%程度を推移した後、低下傾向が見られ2010年以降は24%程度となっている。

4.空調設備のレジオネラ対策指針空調設備におけるレジオネラ症感染防止のために行政施策として指針が制定され、清掃・点検消毒の作業がし易いなど、設備構造面、維持管理面での技術的な指導がなされている。

5.冷却水のレジオネラ属菌抑制対策
①冷却水のレジオネラ属菌数目標レジオネラ症防止指針(第3版)ガイドラインを適用する。菌数が目標を超えた場合の是正処置は重要である。レジオネラ属菌は検査をしないと存在が分からないので予防的管理が必要である。
②レジオネラ属菌抑制対策プログラムの運用年間プログラムの運用が有用である。作業項目や実施時期等を明確にし、緊急対応についても具体的な手順等を明確にしておく。
③冷却水の処理方法
空調用冷却水の水処理はレジオネラ属菌抑制対策、スケール付着防止、配管・熱交換器腐食防止、補給水節水等を目的に、具体的には冷却水の濃縮管理と処理剤の添加、除菌洗浄である。
○冷却水の濃縮管理
循環水の蒸発によって次第に濃縮し、補給水中のカルシウムやシリカなどが過度に濃縮するとスケールや腐食を引起こすため冷却水自動ブロー装置が利用され、濃縮過剰による障害の防止、ブロー過多防止による節水運転が行われる。
○冷却水処理剤の添加
一液処理剤はスケール防止、腐食防止とバイオサイドの機能をもつ。薬液注入装置1台、薬剤1種類で処理できる。二液処理剤は防食・防スケール剤とバイオサイドの2剤を別々に添加する。
○除菌洗浄
バイオフィルム付着が軽微な場合は塩素剤や有機系殺菌剤を高濃度添加する。付着量が多い場合は過酸化水素を用いて1〜3%濃度で数時間循環する。
④処理効果不十分の要因実冷却水での有機系殺菌剤は無処理に比べ明らかにレジオネラ属菌検出率を低下させ、効果が認められる。効果不十分の要因としては(A)添加量不十分(B)バイオサイドの有効成分の消費(C)レジオネラ属菌の増殖箇所の存在などが考えられる。
一方、塩素系殺菌剤は無処理と同等以上の検出率である。冷却水中ではレジオネラ属菌はアメーバ内で増殖しており塩素剤に対する抵抗性を有する事などが考えられる。殺菌剤の効果には様々な影響があることから、実冷却水のレジオネラ属菌検査が重要である。
⑤抗レジオネラ用空調水処理剤協議会抗レジオネラ用処理剤の有効性と安全を評価し、自主基準に合致する製品を登録薬剤として公表、配合される殺菌剤の化学物質名も公表。これらの情報を参考に水処理剤を選定、使用する事が望ましい。

6.おわりにレジオネラ属菌抑制対策は適切に計画されたレジオネラ属菌検査で評価し、改善する事により菌が増殖しない処理対策を確立する事が重要である。


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