濾過装置におけるレジオネラ標準株を使用した培養方法の基礎的検討

目的
循環式等の温浴施設での濾材からレジオネラ菌(以下L菌)を分離する前処理方法については充分な検討がなされていない。検討には実施設由来株のみならず、L菌標準株を使用した実験が必要である。今回、濾過装置におけるL菌標準株を用いて、栄養条件を変えた培養方法について検討を行った。

方法
濾過装置は模擬温浴施設を設定し、定期的に水中のL菌測定を行い、模擬浴槽水の組成等を変更して培養条件の検討を行った。
①模擬浴槽水の組成は増菌培養時の主な栄養素源を乳酸カルシウム、粉ミルク、尿素とし、週2回の頻度で模擬浴槽水の全換とともに添加した。
②栄養源をL-Cysteine4.8mg/L、及び細胞培養培地1000倍希釈添加に切り替え、全換せずに同様の頻度で添加した。
③装置内の濾材を取出し、濾過装置、模擬浴槽及び配管内を清掃及び塩素消毒後、新たに濾材を敷き詰め、栄養条件を②と同様とした。

結果
①試験開始0日にL菌標準株によりマクファーランド濁度0.5とした菌液1mLを濾過装置に移植し、更に49、53日にマクファーランド濁度6とした菌液を1mLずつ移植したが、L菌は水中より消失し、検出されなかった。
②栄養条件の切り替えと共に、56、61、64日目に環境変動に強いと考えられる実施設の環境由来株を用いてマクファーランド濁度6とした菌液を1mLずつ添加したが、L菌は消失せず、64日目の最後の移植後も増加傾向にあった。その後、栄養条件を①に戻したところ、水中のL菌は減少した。
③装置内を新たにし、②と同じ栄養条件とした。一般細菌の増殖が止まった13〜15日目にL菌標準株を用いてマクファーランド濁度6とした菌液を1mLずつ移植した。L菌は継続して減少傾向にあったが①の方法と異なり水中より消失することはなかった。

考察
濾過装置を用いたL菌標準株の培養においても増殖にはL-Cysteineの添加が必須であることが確認された。今後、L-Cysteineを添加したL菌の好適な培養条件の検討を重ね、水系のL菌検査は元より、濾材に付着する微生物膜からのL菌の定量化を図り、循環式等の温浴施設の衛生管理に繋げたい。


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