「事例報告部門優秀賞」環境水のレジオネラ属菌検査の精度向上への取り組み

はじめに
レジオネラ属菌の検査は基本的にJIS K0350-50-10-2006に準拠して行われるが、実際の環境水検査では培地が細菌類や真菌類に覆われ、レジオネラ属菌のコロニーが確認できない検体が約5%存在する。今回検査法の改善により、この検出不能率を著しく低減させたので報告する。

レジオネラ属菌検査の概要主に、4工程①試料水の濃縮操作②濃縮試料の前処理(酸処理または熱処理)③選択培地への接種、培養④レジオネラ属菌の確定試験により構成され、その内、検出不能という検査結果に影響するのは②前処理工程と③選択培地の性能である。そこでこの2工程に関して改善を行った。

検査法の改善
1).酸処理用緩衝液の改善アルカリ度の高い温泉水や高濃縮の冷却水の場合、微生物の殺菌が不十分となる懸念があるため、緩衝力の高い0.2M酸性リン酸緩衝液(pH2.2)を用いて環境水161検体の検査を行った。
2).前処理方法の更なる改善とCATα培地の使用0.2M酸性リン酸緩衝液(pH2.2)で酸処理、一般的なGVPCα培地を用いて実施した22、456検体のレジオネラ属菌検査において検出不能となった904検体を、次の3条件にて再度検査した。①酸処理した検体をCATα培地に接種②熱処理と酸処理を併用した検体をCATα培地に接種③熱処理と酸処理を併用した検体をGVPCα培地に接種

検査法改善の結果1).
酸処理用緩衝液の改善結果0.2M酸性リン酸緩衝液を使用することで酸処理時のpHをpH2.2近くに調整でき、レジオネラ属菌以外の微生物による培地汚染を減少させ検出不能検体を減少させることができた。2).前処理方法の強化とCATα培地による再検査結果(検出不能の割合) ①酸処理+CATα培地21%(190検体) ②熱処理+酸処理+CATα培地4.8%(43検体) ③熱処理+酸処理+GVPCα培地では39%(355検体)となり、②の検出不能率は極めて低い値となった。試験条件の強化はレジオネラ属菌の生育には殆ど影響が無かった。

まとめ
0.2M酸性リン酸緩衝液を酸処理に用いること、前処理として熱処理と酸処理を併用し、CATα培地を用いることで検出不能の割合を1/25に低下させることができた。この結果から、本法はレジオネラ属菌検査の正確性を確保する上で有用と考える。この他、検査精度向上には①各操作におけるレジオネラ属菌の回収率の向上②選択培地の選定の2点に注意する必要がある。検査精度を高め、より正確な検査結果を提供することが求められる。


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