レジオネラ症のリスクマネジメント7レジオネラ属菌の検査‐遺伝子検査‐

はじめに
レジオネラ属菌の基準は培養法で「検出されないこと」と定められている。培養は生菌が取得できるという利点はあるが結果判明に2〜3週間要す。時間短縮が可能な遺伝子検査との比較を紹介する。

遺伝子検査(PCRとLAMP法)の原理
1.PCR法はPCRを行い、目的DNAを増幅後、増幅産物を電気泳動で解析する。リアルタイムPCR法はPCRでの増幅産物の生成過程を連続してみることができ、より正確な定量、及び解析時間の大幅短縮が可能である。
2.LAMP法は標的遺伝子の6領域に対して4種類のプライマーを設定、鎖置換反応を利用して一定温度で反応させる。
3.どちらも目的遺伝子の一部を増幅させ、短時間検出が可能なため様々な分野で応用されている。

実試料に使用する前の確認
1.レジオネラ属菌の反応を確認する。
2.検出限界を確認し、培養法のそれと同等以上の感度であれば実試料に適用する。
3.菌数検量線を作成する。これにより実試料のPCR想定結果から培養法のコロニー数に相当する菌量が算出でき、培養法との比較が可能になる。
4.クロス反応を確認する。実試料には多様の菌混入が予測される。それらの菌がレジオネラ属菌陽性を示さないことを確認する。

遺伝子検査の実際
1.循環式浴槽水366試料を対象に定量リアルタイムPCR法、LAMP法と培養法との比較を行った。検査方法は栄研化学及びタカラバイオの指示通りとした。
2.結果、培養法(陽性58・陰性308)、LAMP法(陽性151・陰性212・検出不能3)、定量リアルタイムPCR法(陽性161・陰性202・検出不能3)であった。また、定量リアルタイムPCR法の検出菌数は培養法より高い菌数を示したが、培養法陽性にもかかわらずLAMP法陰性で、定量リアルタイムPCR法の定量値が培養法の0.02倍の菌数を示した1試料があった。温泉であった。
3.以上より、遺伝子法は培養不可能菌や死菌DNAも増幅している可能性、地下水や温泉水には偽陽性反応を起こす物質が含まれている可能性があることから、遺伝子検査法を直に培養法の代替にするには無理があるとわかった。
4.遺伝子検査法は、前処理工程で妨害物質だけをいかに効率良く除去し、目的のレジオネラ属菌の遺伝子を消失することなく測定するかが鍵となる。

遺伝子検査の応用
1,LAMP法とリアルタイムPCR法の併用でより正確な結果を得られる。
2.レジオネラ症感染が疑われた場合、2つの遺伝子検査を併用した迅速法は翌日に結果が判明する事から培養法の結果判明までの約10日の間に施設の殺菌や再検査などを行うことができる。
3.培養法はレジオネラ症防止指針に示された手法で行うと2〜3週間を要するが、生菌の有無の判定であれば工程の一部を省略し、LAMP法を利用することで約1週間に短縮することができる。
4.浴槽水等の検査において、採水時に塩素を大量に投入している場合、培養法では不検出となっても、遺伝子検査法は確実に遺伝子量を測定できる。又、菌が検出された場合、施設利用を自粛して浴槽を殺菌、不検出を確認しなければならないが早く結果が出る遺伝子検査法は施設側の負担を軽減できる。

遺伝子検査のこれから遺伝子検査は迅速に結果がでる、残留塩素に左右されないなどの利点があり、これらを活かし、発展していくことを期待する。


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