分離集落の特徴を利用したレジオネラ属菌分別法の有用性

目的
レジオネラ属菌の培養検査を行う場合、多くのレジオネラ属菌検査マニュアルに記載される特徴をもつ集落はレジオネラ属菌、非属菌を問わず多数存在し、雑菌との分別が困難である。そこで、分離培地上の集落に斜光を当てると外観がカットグラス様を呈するという特徴を利用した観察法を取り入れることで、正確、且つ簡便にレジオネラ属菌の確認、釣菌、菌数の測定などをできるか検討し、その有用性を明らかにする。

方法
1.基準株について5種類の供試菌株を現在普及している市販分離生培地数種に培養し、分離培地に斜光を当て分離集落の観察を10日間、毎日行った。
2.環境試料について浴槽水、冷却塔水(非濃縮、100倍濃縮)試料を熱処理、酸処理し、10日間培養し、毎日斜光法で観察し、発育集落においてレジオネラ属菌と他の細菌との分別が可能かどうか検討した。

結果
1.基準株について5種類ともすべての分離培地上で特徴的な外観構造を呈した。この形態的特長が通常の検査においても有効と考えられる。但し、菌株により見え方が異なる場合があること、培養時間の経過とともに特徴を確認しづらくなる場合があった。
2.環境試料について培養3日目以降に発育が認められた集落で特徴的な形態を示したものが多く認められた。釣菌した10、620集落の内、10、199集落(96%)がレジオネラ属菌と同定され一方、形態的特長の認められなかった集落はすべて非レジオネラ属菌であった。さらに実体顕微鏡を使用するため培地上に発育してきた微小な集落の確認、多数の雑菌の中で僅かな隙間に発育したレジオネラ属菌も確認することができた。

考察
斜光を利用した観察法により、L.pの13血清群、及び17種類のレジオネラ属菌が効率良く検出された。それらはカットグラス様の特徴的外観を有していた。環境試料でも本特徴を有した集落の96%がレジオネラ属菌と同定された。今回の結果から、本法は分離培地上での分別、菌数測定、判定日数の短縮などの面から極めて有用な方法と思われる。但しレジオネラ属菌の50超の菌種すべてに形態的特長が認められるかどうか、また本特徴も培養時間の経過とともに確認しづらくなるなど、今後の研究と注意も必要である。


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