環境水のレジオネラ属菌検査の精度向上への取り組み

目的

標準的な環境水のレジオネラ属菌検査の場合、培地がレジオネラ属菌以外の細菌類や真菌類に覆われてレジオネラ属菌のコロニーが確認できない検体(検出不能)が約5%存在するが、この検出不能率の低減が望まれている。今回、試料の前処理方法の改善、及び新たな培地の使用により検出不能率を著しく低減させたので報告する

方法と結果
1.酸処理用緩衝液について環境水161検体の100倍濃縮液を0.2 MHC1-KC1緩衝液と0.2M酸性リン酸緩衝液を用いて10分間酸処理後、GVPC培地に接種しレジオネラ検査を行った。結果、0.2M酸性リン酸緩衝液は酸処理時のpHを安定してpH2.2付近に保つことができた。また酸性リン酸緩衝液の方がHC1-KC1緩衝液よりも細菌類による培地汚染を減少させ、検出不能検体を減少させることができた。
2.CATα培地による有効性について2006年9月〜2008年3月の検査で検体の100倍濃縮液を0.2M酸性リン酸緩衝液で酸処理後、GVPC培地に接種し検出不能となったのは22、439検体中900検体(4%)であった。冷蔵保存したこれら検体の100倍濃縮液を①酸処理し、改良したCATα培地に接種②熱処理と酸処理をし、CATα培地に接種③熱処理と酸処理をしGVPC培地に接種の3通りの条件で検査を実施した。結果、検出不能率は①0.8%(188検体)②0.2%(43検体)③1.6%(352検体)であった。

考察
酸性リン酸緩衝液を用いることで検水のpHをよりpH2.2付近に保つことができ、効果的な前処理が可能となった。また、前処理として熱処理と酸性リン酸緩衝液による酸処理を併用しCATα培地を使用することで、検出不能となる割合を1/20に低下させることが出来た。よって本法は検出不能検体を減少させ、レジオネラ属菌検査の正確性を確保する上で有用といえる。


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