冷却塔からのレジオネラ属菌の飛散状況に関する研究

目的
レジオネラ症患者の報告数は増加の一途である。その感染原因の約60%は浴場施設と推定されているが40%は原因が究明できていない。そこで過去最大の原因にあげられた冷却塔の関与について、冷却塔からのレジオネラ属菌の飛散状況に関する調査を行った。

方法
横浜市内の事業所3施設を対象に、晴れ、気温32〜33℃、湿度68〜73%の条件下空気、土壌、堆積物、フィルタ、エアハンドリングユニットよりサンプリングした試料を用い、それぞれレジオネラ症防止指針に準じた方法にて調査した。

結果
A施設…風下とOA付近は5MPN/㎥検出、LpⅠ、設置屋上の土壌はⅠ・Ⅳ・Ⅴ、冷却塔内堆積物及びルーバー下堆積物はⅠ・Ⅳ、OA内堆積物・フィルタ切断布、エアハンドリングユニット内結露水及びユニット表面はⅠが分離された。冷却塔水からは2、330cfu/100ml検出、Ⅰが分離された。末端の居室吹き出し口はPCR法でも検出されなかった。
B施設…風上下とOA付近は4MPN/㎥検出、Ⅰ、屋上の土壌はⅠ・Ⅳ、南傾斜地はⅠ・Ⅲ・Ⅳ、冷却塔水中沈殿物、エアハンドリングユニットフィルタ表面、内床面はⅠが分離された。冷却塔水からは54、430cfu/100ml検出、Ⅰ・Ⅲが分離された。居室吹き出し口はA同様検出されなかった。
C施設…前公園の土壌からⅠ・Ⅳが、冷却塔水からは2、500cfu/100ml検出され、Ⅰが分離された。PFGEの結果、各施設のサンプリングポイントから検出されたL.pⅠは施設毎に同一の菌の確立が高いことが分かった。しかし、A、B、CのⅠは同一の菌ではなかった。

考察
1.冷却塔からの飛散3施設とも冷却塔水から高濃度のレジオネラ属菌が検出され、周囲の空気や土壌から分離された菌が塔内の菌と同一であった事から、冷却塔から飛散したと考えられる。
2.空調システム内への汚染AB施設のエアハンドリングユニット内から検出された菌が冷却塔水から分離された菌と同一であったことから冷却塔からの飛散がユニット内にまで及んでいると推察される。両施設の外気取り入れ口は冷却塔から15cm以上離れていたが、開口部が冷却塔に向いていた。C施設は取り入れ口が冷却塔と反対側にあったため空調システム内への汚染を防ぐことができたと推察される。
3.居室吹き出し口からの汚染AB施設でも検出されなかったことから空調システムへの汚染はエアハンドリングユニット内、及び居室までの配管途中までで防がれていると考えられる。以上の結果から、冷却塔による感染が発生している可能性は否定できない。よって、冷却塔の維持管理は非常に重要であり、浴場施設の衛生管理同様に冷却塔の維持管理に努める必要がある。


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