免疫磁気ビーズ法を用いたレジオネラ属菌の分離法

目的
レジオネラ症患者の感染源を探る上で環境水からのレジオネラ属菌(以下L菌)の分離は重要である。一般的には濃縮方法(ろ過法、冷却遠心法)を用いるが濃度の高い試料ではろ過出来なかったり、L菌の培養に時間を要することから雑菌による妨害除去のため前処理が行われるが雑菌を全て除き、L菌だけを培養することは困難である。これらの課題を解決する手法として、免疫磁気ビーズ法を用いて試験した。

方法
精製水にL菌(4段階濃度)と従属栄養細菌(2段階濃度)を添加した8試料、浴槽水32試料を用いた。ろ過法は浴槽水500mlをろ過し、滅菌蒸留水5mlで再懸濁(濃縮試料)し、50℃20分加熱処理し、100㎕をGVPC培地に塗沫しL菌の分離を行った。ビーズ法は45mlの浴槽水に緩衝液5mlとビーズ液150㎕を添加しミキサーで1時間反応させた後、5分間混和して上清を除去した。沈査に緩衝液50mlを加えミキサーで5分間洗浄後、同様に上清を除去し、緩衝液1mlで再懸濁して試料とし400㎕をGVPC培地に塗沫、L菌の分離を行った。高濃度の試料は目視で濁質が認められなくなるまで緩衝液洗浄を3回まで行った。

結果及び考察
①ビーズ法は6cfu/100mlまで検出可能で、検出限界値はほぼろ過法と同様であった。
②ろ過法ではGVPC培地に8.0×100〜1.0×102cfu/plateの雑菌が確認されたが、ビーズ法では1回の洗浄で0〜3.0×102cfu/plate、2回の洗浄0〜3.0×100cfu/plate、3回の洗浄で雑菌が全て除去された。
③浴槽水試料からのL菌分離はろ過法、ビーズ法の相関が高く良好な結果であった。
④雑菌が多い試料はろ過法ではGVPC培地上にL菌と共に雑菌のコロニーが出現、選別には熟練が必要である。一方ビーズ法では洗浄の過程で雑菌が取除かれていくため雑菌のコロニーが少なくなった。以上の結果からろ過法に比べ、ビーズ法はL菌のコロニーが雑菌のコロニーに埋没して検出が不可能になることを避けられ、純培養の時間短縮にも繋がると共に比較的容易にL菌のコロニーを判別できるなど、利点の多い手法と考えられる。


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