循環ろ過式モデル浴槽を用いた過酸化水素と銀の複合剤の洗浄・殺菌効果について

目的
入浴施設における循環式浴槽では、配管内のバイオフィルム除去、消毒に過酸化水素等を用いているが、過酸化水素による洗浄は35%濃度の市販品の場合、多量(5.7〜8.6%純分2〜3%)の薬剤を必要とするため施設の休業日など限られた時期しか利用できない。より低濃度で利用できる洗浄剤として過酸化水素と銀の複合剤について、その洗浄・殺菌効果を検証した。

方法
1約2㎥の浴槽の循環ろ過式モデル浴槽を用いて、次亜塩素酸ナトリウム管理下で2週間運転し、延べ29名が入浴、皮脂等の有機物を蓄積させた。
2その後、次亜塩素酸ナトリウムの添加を停止、残留塩素を消失させて無殺菌循環を9日間行い、細菌が増殖しバイオフィルムの形成を待った。予め、浴槽のVP(塩化ビニル)配管内にバイオフィルム形成の観察用に5×5mmのVPテストピースを配置した。
3過酸化水素と銀の複合剤(クリーンサイドNV-35、ケイ・アイ化成製、過酸化水素35%+銀700mg/l)で洗浄を行った。薬剤を浴槽水に対して0.5%添加、1時間循環洗浄後、カタラーゼを添加して1.5時間中和した。
4その後排水し、水でリンスした後、サンプリングを行った。

結果
1浴槽水、ろ過器内水ともに無殺菌循環1日目で従属栄養細菌数が急激に上昇し、洗浄までの間105〜106CFU/mlの生菌が確認された。レジオネラ属菌数も徐々に増加、無殺菌6日後には106CFU100/mlの汚染が確認された。2過酸化水素と銀の複合剤を用いた洗浄、リンス後の浴槽水では従属栄養細菌、レジオネラ属菌は検出下限以下となった。VP配管内、ゴムパッキン、ヘアキャッチャーにおける拭き取り試験では洗浄、リンス後にはレジオネラ属菌が検出されず、全ての部位で殺菌できた。3走査電子顕微鏡によりゴムパッキンを観察したところ洗浄、リンス後にはバイオフィルムや比較的大きな有機物等も除去されていた。配管内に設置したVPテストピースに関してもバイオフィルムが除去されていた。

考察
過酸化水素と銀の複合剤による低濃度過酸化水素洗浄は、その複合効果により従来の過酸化水素洗浄の1/10以下の使用量でも優れた洗浄・殺菌効果を示した。又、発泡によるポンプの空転や中和の手間も軽減するため実質的に作業時間を短縮し、限られていた過酸化水素洗浄の機会を広げることが出来ると考えられる。


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