冷却塔・冷却水系のレジオネラ属菌対策

日本におけるレジオネラ症の集団発生は、浴槽水を原因とするものが多い特長がある。これに対して諸外国では、給水や、給湯水、冷却水を感染源とする集団発生が多く報告されている。わが国においては、現在のところ冷却水を感染源とする集団発生の報告は少ないが、諸外国の例を教訓としつつ、冷却水系のレジオネラ属菌抑制対策を講じる必要がある。

冷却水におけるレジオネラ属菌の実態

検査
冷却水など環境水中のレジオネラ属菌を検出するには、菌数が得られる選択培地を用いた培養法が主に行われており、検査のための試料水200〜400mLを採取後直ちに検査期間に持ち込む。培養法以外のレジオネラ属菌検査法では遺伝子を利用したPCR法や抗原抗体法があるが、感度や選択性において充分とはいえず、その特長をよく理解した上で検査結果を判断する必要がある。

冷却水中の菌数
日本全国の水処理用の殺菌剤が添加されていない冷却水について1987〜92年にかけて調査したところ、約6割の冷却塔水にレジオネラ属菌が生息していることが分かった。また、月別の集計では多数の冷却塔が稼働する夏期6〜9月の検出率が高い。

増殖要因
レジオネラ属菌の増殖要因には、水温、バイオフィルム、水質がある。水温は25〜40℃で尤も早く増殖する。また、バイオフィルムはレジオネラ属菌の宿主となるアメーバなどの原生動物や細菌類の集まりであり、レジオネラ属菌の増殖源となる。レジオネラ属菌は幅広い水質環境で増殖することができる。pHは5〜10、塩類濃度1%程度まで増殖可能である。このように、冷却水は大気中の物質の取込み、酸素の飽和、藻類の増殖、塩類の濃縮などの要因によりレジオネラ属菌をはじめとする微生物類が増殖しやすい環境にある。

冷却水系のレジオネラ属菌抑制対策冷却水系のレジオネラ属菌の抑制対策には、バイオフィルム除去の過程と、水処理剤による継続的な除菌処理の過程がある。バイオフィルム除去には、手作業による清掃と薬剤による化学洗浄があり、引き続いて実施する継続的な水処理剤処理の効果を確実にするためにも重要である。・手作業による清掃:設備の保守管理上重要であり、冷却塔周りのバイオフィルムを除去できるが、冷却水系の配管や設備機器内部のバイオフィルム除去はできないため、レジオネラ属菌の除菌効果は限定的である。

薬剤による化学洗浄
冷却水中の浮遊性菌と同時に冷却水系配管・設備機器内面のバイオフィルムの除菌(除去)もするためには、過酸化水素、次亜塩素酸、有機物系殺菌剤などを高濃度で添加し、冷却水系を2〜3時間循環させる。常時冷却水中のレジオネラ属菌を抑制するには、化学洗浄に加えて、冷却塔の運転期間中は水処理剤(殺菌剤)を継続的に添加する必要がある。また、水処理剤の継続添加だけでは十分な効果が得られない場合には化学洗浄が必要である。


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