レジオネラ属菌の細菌学的特性と制御ポイント

特性
*レジオネラ属菌はpH6.8〜6.9の限られた範囲でなければ増殖せず、人工的に増殖させるには必須栄養素としてL-システインと、発育促進物質として微量の鉄イオンが不可欠となる。そのため、人工増殖にはB-CYEα寒天培地が一般に用いられる。
*レジオネラ属菌は培地上での人工増殖条件が上記のように厳しいのにもかかわらず自然環境においてはpHや温度などの物理化学的条件の異なる広範囲に生息している。これは環境水中のレジオネラ属菌がある種の藍藻や緑藻の細胞外代謝産物をエネルギー源として、これらの藻類と共生関係にあるためと考えられている。また、通性細胞内増殖性という特長があり、レジオネラ属菌は捕獲されたアメーバなどの原生動物の餌とならず、その原生動物の細胞内を培地として増殖する。

殺菌効果
*塩素処理水のpH値は低いほど殺菌効果が強い事が知られており、また、温度の影響も強く受け、温度が高くなるほど消毒速度は速くなる。また、懸濁物質が消毒効果を低下させる事はよく知られているが、その程度は懸濁物質の種類、大きさ、濃度、微生物との結合状態などによって異なるため懸濁物質の量と消毒力の低下は一概にはいえない。
*水処理剤:冷却水系を化学的に殺菌洗浄するには、過酸化水素やグルタールアルデヒド、塩酸または有機酸などを循環させる。こうして冷却水系全体がある程度まで殺菌されるが、この効果は持続しないため条件によっては短時間で洗浄前の状態に復活してします。したがって、冷却塔使用期間中は殺菌剤の使用により、継続的な水処理が必要となる。
*天然抗菌剤:
・コーヒー:コーヒーに含まれるプロトカテキュ酸、カフェイン酸、クロロゲン酸には速効性のないものの、レジオネラ属菌に対して明らかな殺菌作用が認められた。
・ハーブ:28種類のドライハーブの抽出液を用いて抗菌活性を調べたところ、22種類のハーブの抗菌活性が明らかとなった。特にシソ科のハーブが強い活性を示した。また、その活性は濃度依存性であることも分かった。
・竹酢液:殺菌実験では竹酢液の濃度によって生残菌数の減少傾向が顕著に異なり、竹酢液の効果は濃度依存であることが明らかになった。また、速効的な殺菌作用があることも分かった。
・グレープフルーツ種子抽出物:実験の結果、グレープフルーツ種子抽出物(GSE)にはレジオネラ属菌に対して速効的な殺菌作用があることが分かった。
・加熱処理:物理的殺菌のうち最も確実な方法は加熱処理であるが、レジオネラ属菌はグラム陰性菌であるから60℃以上のか熱処理によって短時間に殺菌される。

制御ポイント
レジオネラ属菌が多数生息しているような冷却塔や循環式浴槽などの人工的水環境には、レジオネラ属菌の宿主となるアメーバが高頻度で生息していることがわかっている。したがって、これらのアメーバ対策を行わなければレジオネラ属菌の制御は困難である。また、レジオネラ属菌がアカントアメーバと共存する条件下において、レジオネラ属菌単独の場合と比較して殺菌剤に対する抵抗性が高まることが報告されている。レジオネラ属菌がアメーバ内で増殖することにより、抗菌剤に対する感受性に大きな影響を与えることは明らかである。実際のレジオネラ属菌対策では、こうしたことを念頭において実行する必要がある。


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