レジオネラ症集団感染事例の疫学調査

目的
平成14年6月から7月に起きた宮崎県の温泉施設でのレジオネラ症に集団感染した患者に関する詳細な疫学調査を実施し、レジオネラ症に対する公衆衛生行政上有用な情報の収集をする。

調査対象
宮崎県日向市における、循環式温泉入浴施設日向サンパーク温泉「お船出の湯」を2002年6月20日から7月23日間での期間に利用した者で研究に同意した患者(疑いも含む)162名。

結果
■1.臨床事例に基づく診断・治療法の疫学的解析入浴から2週間以内に発症した患者77名に肺炎所見が認められ、この77名を温泉事故に関連する肺炎としたが、レジオネラについての細菌学的検査の陽性率は全症例の1/3程度と低くかった。胸部レントゲン、CT所見では2つ以上の肺葉に陰影をきたした症例が9割以上と高頻度であったが、レジオネラ肺炎に特徴的とはいえず、臨床像のみでレジオネラ肺炎の診断は困難と考えられる。
■2.レジオネラ発症に関する個体・環境要因のリスト解析
環境要因
(1)週末の入浴
(2)入浴時刻が早い
(3)エスベッドの利用(エアロゾル発生、推定菌数1500000CFU/100mL)ヒバ仕様大浴場の露天風呂利用(推定菌数680000CFU/100mL)
(4)湯船に入っている時間が長かった個体要因
(1)男性
(2)60歳以上
(3)喫煙習慣あり
(4)飲酒習慣あり
(5)自己免疫疾患などの基礎疾患の存在

考察
浴槽水中の菌数とエアロゾルの発生が感染リスク要因として重要であり、両者が重なったことが今回の事例の被害拡大に繋がった大きな要因であると考える。また、上記個体リスク要因がレジオネラ症患者の診断に重要な情報になると思われる。

※本研究は宮崎大学医学部第2内科岡田昭彦・佐々木隆、同看護学科前田ひとみ・鶴田来美、済生会日向病院内科松元信彦、宮崎県衛生環境研究所鈴木泉、宮崎県福祉保健部、福田祐典・日高良雄・瀧口俊一と共同で行われた


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